災害への備えは水・食料よりもまず<トイレ>!?防災トイレ専門家「断水後、水道の仮復旧までにかかった平均日数はなんと…」
2024年8月8日、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の大きな地震が発生し、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が一時的に発表されました。災害への備えで後回しにされがちな「トイレ」ですが、NPO法人日本トイレ研究所代表理事の加藤篤さんによると「発災後3時間以内に約4割の人がトイレに行きたくなる。だから水・食料より先にトイレ対応が必要」とのこと。そこで今回は、加藤さんの著書『トイレからはじめる防災ハンドブック 自宅でも避難所でも困らないための知識』から、今知っておきたいトイレの知識を一部ご紹介します。 【グラフ】新潟県中越地震のアンケート。「避難所で体験した困ったこと」多かった回答は? * * * * * * * ◆発災から3時間以内に38.5%の人がトイレに行く 自然災害の発生後にすべきことは何でしょうか? 地震や豪雨などが起きたときに真っ先にすべきなのは、自分の命を守ること、そして安全な場所に避難することです。ここまでの行動は、全員一致するでしょう。 問題はこの後です。 避難所では避難者の誘導や場所の確保、水・食料の配給などに多くの人が奔走します。もちろんこれらは大切ですが、それと同じくらい重要なのに忘れられがちなことがあります。 それが「トイレ対応」です。 大きな災害が起きると水洗トイレは使えなくなります。しかし、私たちの排泄は待ってくれません。 2016年4月に発生した熊本地震での調査によると、発災後3時間以内にトイレに行きたくなった人は38.5%、6時間以内では72.9%に上ります。 発災後6時間は大混乱状態で、恐らくこの約7割の人は水を飲んでおらず、食事も摂っていないはずです。それにもかかわらず、トイレに行きたくなるのです。 つまり、水・食料より先にトイレ対応が必要ということです。 私たちはこの事実から目をそらしてはいけないのです。
◆給水と排水の両方が機能しないと水洗トイレは使えない 断水したら水洗トイレが使えないことは、多くの人が理解しています。 水洗トイレは目の前の大小便を水で流し去ってくれる便利なシステムなので、水が無ければ機能しません。 断水の原因は主に2つあります。 1つは給水管等の給水装置や配水施設が破損して水を届けられなくなること。もう1つは停電でポンプ等の設備が作動しなくなり水が届けられなくなることです。 ところが、給水に問題が無くても、水洗トイレは使えなくなることがあります。 それは、排水に支障がある場合です。理由は、流れていく先がなくなるからです。 排水に問題が生じる要因としては、排水管が外れる・閉塞する・逆こう配になる、下水道や下水処理場、浄化槽が機能していない、などが考えられます。 このような場合、無理に汚水を流すと、どこかからあふれることになります。 先にも触れたように、正確に言えば、給水と排水、それに電気のすべてが機能してこそ、水洗トイレは使用できるようになります。 日頃、目にしているのは便器だけですが、その裏に壮大な水洗トイレシステムがあることを知っておいてください。
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