災害への備えは水・食料よりもまず<トイレ>!?防災トイレ専門家「断水後、水道の仮復旧までにかかった平均日数はなんと…」
◆断水が起きると、水道の仮復旧までは1か月以上かかる 私たちは1日に複数回トイレに行きます。 水洗トイレを使うには、もちろん水が必要です。節水型の便器でも、1回あたりの洗浄で概ね6~8リットル程度の水を使用します。仮に5回行くとしたら、合計で30~40リットルの水を使うことになります。 水を便器に供給するためには、まず河川などから引いた水を処理する浄水場が機能していることが前提です。 また、浄水場からポンプ場を経由して各建物に水を運ぶ配水管が正常であることも必要です。 そして、これらの過程では電力も欠かせません。このため、大きな災害で停電すると断水が発生します。 阪神・淡路大震災では約127万戸が断水し、仮復旧が完了するまでに1か月以上を要しました。 また、東日本大震災で被災した地方公共団体へのアンケート調査では、上水道の仮復旧までに要した日数は、平均35日間だったことが分かっています。 この間、トイレの洗浄に必要な水量を人力で供給するのは容易でありません。断水で洗浄水が確保できない場合に、トイレ機能を確保する方法の検討が必要です。
◆安心できないトイレは「我慢」を引き起こす トイレを我慢する、つまりトイレに行きたくないと感じてしまう原因は人それぞれ異なります。 臭かったり、汚れていたりするトイレは、誰もが避けたくなるものです。特に女性や子どもであれば、暗がりにあるトイレは怖いでしょう。 寒い時期には、屋外のトイレは使いたくありません。風雨等の悪天候時も同様です。遠くにあって行くのが大変なトイレも使いづらいです。 また、男女共用しかない場合や、数が少なくてトイレ待ちの行列ができる場合も困ります。 車いす利用者や足腰が悪い人は、段差があるトイレや和式便器が使えません。和式便器は、慣れていない子どもにとっても困難です。 このようにトイレを不便もしくは不快と感じてしまうきっかけがひとつでもあると、私たちはトイレになるべく行かなくて済むように、意識的にも無意識的にも、水分摂取を控えがちになり、その結果として体調を崩してしまいます。 平成16年新潟県中越地震に関する住民アンケート調査(小千谷市・川口町編)でも、かなりの人が、トイレを理由に水分を控えていたことがわかります。
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