イチロー、超進学校野球部から刺激「高校生見る目変わるかも」「こういう空気感は初めて」
イチ流バッティング指導「とにかく僕は足、下半身だね」
そして、イチローさんのバッティング練習が始まった。まずはトスバッティング。真剣な表情で、イチローさんの一挙手一投足を食い入るように見つめている部員たち。 イチロー:とにかく僕は足、下半身だね。足で力を伝える。あくまでも足のタイミングで上半身がついてくる。手を先に出すことは僕はしない。準備段階でそれを知ることが大事。練習のバロメーターとしてそれを持っておくこと。形は絶対に崩さない。じゃないと自分の動きが理解できないから自分自身で。だから足が疲れます。手は全然疲れない。全部同じです。投げるのもそう。 額に汗を浮かべ、バットを振り続けるイチローさん。「これは試合前の準備段階です。試合前に形を作って次の段階に進む。しんどいよ、息が切れる」 続いてフリーバッティング。「軸足の意識は?」「低めの球は打てるんですが、高めが苦手で」といった質問に対し、バットを手にしてスローモーションでバットを振り、軌道や力の入れ具合などを説明していく。 65スイングでホームラン性の当たりを10本飛ばしたイチローさん。51歳にして鋭い打球を連発するレジェンドに、間近で見ていた部員たちからは「ウォー」と歓声が上がる。最後もホームラン性の当たりで締めたイチローさんに、自然と拍手が起こった。「最後バテても足が使えれば、あの打球が出る。あれも手でやってたら永遠に出ない。今日はここまでです。明日また」と、最後も下半身の大切さを説いて1日目を終えた。
2日目は走塁を徹底指導「野球は曲線の動き」
2日目。グラウンドにやってきたイチローさんは整列する部員たちを見回し、荒井主将に語りかけた。 イチロー:どうですか?体と心は?キャプテン。 荒井:心はすごく満ち満ちていて、やる気満々です! イチロー:ハハハハハ。いいね! 荒井:ただ股関節とか普段意識しない所を使ってたので、その部分が痛んでるというか。 イチロー:お、反応出てる? 荒井:反応出てます。 イチロー:いいじゃない!今までになかったことでしょ、それ。 荒井:そうです。 イチロー:どう、他のみんなは?今までと違う反応出てる人? 部員たち:(手を挙げる選手多数) イチロー:あ、もうほとんど、全員ていう感じ。それはいいことだね。 まずは、イチロー流ウォーミングアップの伝授から始まった。一塁から三塁にかけて、ライン沿いを走る。「野球は曲線の動き、すごく効果的でイメージしやすいと思う」 イチロー:上半身はできるだけリラックスして腕を肩甲骨から振る。下半身は股関節を動かして足を引っ張るイメージ。それで回転していって加速していく。これらが組み合わさって効率よく動ければ、スピードも上がる。 肩甲骨や股関節を意識して走る選手たち。しかし意識し過ぎて、若干滑稽な感じの走塁に。思わず笑ってしまうイチローさん。「これは(初めてだから)しょうがない」 イチローさんが、何本か走ってお手本を示す。 イチロー:どう、51歳のおじさんの走りは? 部員たち:かっこいいです。 イチロー:きれいな走りを目指して。結果、それがスピードにも繋がるから。じゃ、ラストいってみようか。 今度は上手に走る選手たち。 イチロー:ナイスラン、ナイスラン、いいね!いいじゃない! イチローさんの走塁講義は続く。今度は塁上でリードの仕方や体勢について。一塁の場合、二塁の場合、三塁の場合。それぞれの塁で、外野フライが上がった時の判断や様々な対応等々。 イチロー:ランナー一・三塁でダブルスチールはどう?サードランナーの判断。キャッチャーがセカンドに投げるか、途中カットに投げるかの判断、難しいよね。 部員:人によってまちまちです。 イチロー:そこはルールを決めてないんだ。判断する時は、止まって。真ん中で。守ってる時も同じ。センターで打球が落ちるかどうか、難しいよね。そういう時も、正面。伸びあがった状態で待ってたら動けない。