〈サラダ〉VS〈鍋〉 痩せたい人は野菜をどう食べればいいのか? 管理栄養士が徹底解説
腸活&ダイエットに効く野菜の食べ方とは? 毎日食べる野菜。生で食べるサラダと、煮込む鍋料理、どちらが体に良いのでしょうか? 1日に必要な野菜の量は350gと言われています。忙しい毎日でも、効率よく野菜を摂りたいですよね。 今回は、管理栄養士が、生野菜と加熱野菜の栄養価や、体への影響について詳しく解説します。 ビタミン、ミネラル、食物繊維など、栄養面はもちろん、消化や健康への影響についてもご紹介します。 〈写真〉サラダVS鍋。 痩せたい人は野菜をどう食べればいいのか? ■生野菜のメリットとデメリット 新鮮な野菜のサラダは、ダイエット中に多くの人が選ぶメニューの一つです。生野菜は低カロリーでボリュームがあるため、満腹感を得やすく、食べ過ぎを防ぎ、ダイエットにも効果的です。しかし、本当にサラダが野菜の栄養を最大限に引き出せるのでしょうか? 今回は、サラダのメリット・デメリットを詳しく解説し、より効率的な野菜の摂り方をご紹介します。 ■■生野菜のメリット 生野菜のメリットは、豊富な栄養素を効率よく摂取できることです。ビタミンやミネラル、食物繊維がたっぷり含まれており、特に水溶性ビタミンは加熱すると失われやすいので、生で食べることで効率的に補給できます。不足しがちなこれらの栄養素は、代謝を促進し、腸内環境を整えることで便秘解消にもつながります。 また、酵素食を意識している方にとっても、生野菜はおすすめです。酵素食とは、食品に含まれる酵素を積極的に摂取することで、消化や代謝を促進し、健康維持に役立てようとする食事法です。生野菜には、食物繊維だけでなく、消化を助ける消化酵素や、エネルギー産生に関わる代謝酵素などが豊富に含まれています。酵素食は、健康に良い食事法として注目されていますが、過度な期待は禁物です。酵素を意識しながらも、バランスの取れた食事を心がけ、様々な食材を組み合わせることが重要です。 ■■生野菜のデメリット 一方、生野菜には注意点もいくつかあります。野菜の細胞はセルロースという硬い膜で包まれており、消化しにくいため、生食する際はよく噛んで食べる必要があります。細かく刻んだチョップドサラダやスムージーにするなど、調理法を工夫することで、消化を助け、栄養吸収率を高めることができます。ただし、チョップドサラダにした後は、栄養素の損失が進みやすくなるため、速やかに食べる必要があります。調理後に時間のたったサラダ弁当のテイクアウトはおすすめできません。スムージーも同様です。 また秋から冬にかけては、体が冷えやすくなるため、生野菜ばかりを摂っていると、冷え性や消化不良を招く可能性があります。温かいものを取り入れたり、体を温める食材と組み合わせるなどの工夫をしましょう。 ■加熱野菜のメリットとデメリット 寒い季節には、鍋料理が食卓に登場する頻度が増えます。白菜やネギ、青梗菜など、様々な野菜をたっぷり食べられる鍋料理は、栄養満点でヘルシーな食事です。厚生労働省が推奨する1日の野菜摂取量350gを、簡単にクリアできるのも魅力です。以下に、加熱野菜のメリットとデメリットについて詳しく解説します。 ■■加熱野菜のメリット 忙しい毎日の中で、野菜350gを確保するのは至難の業。そんな時に活用したいのが加熱野菜です。野菜は加熱することで、カサが減るので、生野菜よりも食べやすくなります。特に疲れている時には、やわらかな野菜鍋やスープで、胃腸の消化負担を減らし、栄養素を効率的に補いたいですね。 ■■加熱野菜のデメリット 加熱野菜のデメリットとして、栄養素の損失が挙げられます。特にビタミンB群やC、カリウムなどは、調理時に水に溶け出してしまいます。ビタミンB群は食べたものをエネルギーに変えるのに欠かせませんし、ビタミンCは細胞の酸化を防ぎます。いずれも代謝アップには不可欠で、痩せたい人は積極的に摂りたいビタミンです。カリウムは、体内の余分な水分を取り除いて、むくみ太りを解消します。その点でも、ゆで汁に流れ出た栄養素ごと食べられる鍋料理や、スープはおすすめできます。 ■結局、生野菜と加熱野菜、どちらがいいの? 「結局、サラダと鍋料理、どちらが良いのか?」という疑問を持つ方も多いでしょう。結論から言うと、季節や体調、好みに合わせて、両方をバランスよく取り入れることが理想的です。 寒い時期や体を温めたい時は、鍋料理や温野菜がおすすめです。 これらは、体を温め、消化を助ける効果があり、特に冷え性の方や、風邪をひきやすい方におすすめです。短時間加熱や蒸し料理など、適切な調理法を選ぶことで、栄養素を損なわずに美味しくいただくことができます。 一方、生の野菜に含まれる酵素を積極的に摂りたい場合はサラダも取り入れましょう。ただし、生野菜は体を冷やす可能性があるため、温かい料理と組み合わせたり、体を温める食材と一緒に食べることをおすすめします。 どちらを選ぶにしても、大切なのは、バランスの取れた食事を心がけることです。 様々な種類の野菜を、旬のものを中心に、調理方法を工夫して、美味しくいただきましょう。また、これらの野菜に、肉や魚、卵、乳・大豆製品などのタンパク質食品を組み合わせた料理を、食卓の中心にすることで、代謝が上がり、太りにくい体質に向かうことができます。ぜひお試しください。 ライター/石松佑梨(管理栄養士、ウェルネスコンサルタント)
石松佑梨