イチロー「(強豪校は)全く眼中にない、相手とも思ってない」超激戦区に挑む大阪の球児に強烈助言「僕は本気だから」再びイチ流指導
51歳になったイチローさん(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)による高校球児への指導が9日、10日の2日間に渡って行われた。この取り組みは、2020年の智弁和歌山から始まり、21年は国学院久我山(東京)、千葉明徳、高松商(香川)、22年に新宿(東京)、富士(静岡)、23年の旭川東(北海道)、宮古(沖縄)に次いで通算9校目。今回の舞台は、大阪の府立大冠高校。 大阪は履正社、大阪桐蔭といった甲子園常連の名門校が顔を揃え、たった1枚の夏の甲子園切符を目指し、今年は155チームが予選を戦う激戦区だ。大冠高校は、春夏ともに甲子園出場経験はないが、17年には東海大仰星、大阪偕星、上宮といった強豪私学を撃破して決勝に進んだ。しかし、大阪桐蔭に8-10で惜敗、あと一歩の所で甲子園出場を逃した。今年も2回戦で涙を飲んだ。 そんな大冠高校野球部からイチローさんのもとへ手紙が届いた。強豪私立がひしめき合う大阪で“本気で甲子園を目指す”選手全員から。監督は高校野球指導歴41年、公立校での甲子園出場に挑み続けている。 手紙から情熱は伝わってきた。しかし、自分たちの現在地や強豪私立を倒して勝ち上がることの難しさをどこまで理解しているのか。聞こえのいい目標を持つことで満足してしまっていないだろうか。彼らの覚悟と正しいアプローチができているのか、そこを確かめたかった。『強豪私立を倒す』という目標を掲げる公立校の本気度を厳しい目で見てみたい、その思いでイチローさんは訪問を決めた。 9日正午過ぎ、大冠高校のグラウンドに姿を現したイチローさん。その第一声は「鍛えられてる感じがするね。初めまして、イチローです」 選手たちから送られた手紙を手にして、部員たちの前に立った。 イチロー:大阪の大会も見てます。やはり大阪桐蔭、履正社、この2強なんだろうなって思う。みんなが、そこを目指してるのはよく伝わってきました。強烈に意識してる。でも、もう一方で、相手がどう考えているのかを考えてほしい。それ考えたことある? 部員たち:・・・・・(無言) イチロー:僕は愛工大名電で、当時愛知で私学4強と言われてた。その立場から言うとベスト16以下のチームは意識してない。だから履正社、大阪桐蔭は大冠のことは全く眼中にない、相手とも思ってない。そこに挑む。目指してる所が、次元が違う。現時点で、大冠は一番遠い所にいると思う。 初っ端から強烈な言葉を投げかける。それでも・・・ イチロー:その差は広がってる可能性すらある。でも、みんなの情熱を持ってしたら、何とかなるかもしれない。これをきっかけにしたい。厳しいこと言うけど、みんなに伝えなきゃと。僕は本気だから。情熱を持ってやってても、距離があるんだっていうのを自覚しながらやっていきましょう!僕も2日間、僕のできることを全力でやりますから、お願いします! 部員全員:お願いします!