イチロー「(強豪校は)全く眼中にない、相手とも思ってない」超激戦区に挑む大阪の球児に強烈助言「僕は本気だから」再びイチ流指導
イチ流アドバイス「ちょっとした光を求めてほしい」
そんな中、午前中にインタビューに答えてくれたショートを守る酒井選手が質問をぶつける。 酒井:僕、調子悪い時に沈んだ気持ちのまま次の打席に立っちゃうんですけど。 イチロー:よくありますね、それは。 酒井:イチローさんが調子悪い時、どういった気持ちで次の打席に向かっていきましたか? イチロー:そんなこといくらでもあるし、普通のことだよね。結果出てなくて感触も良くなくて。次も順番回ってくるから。いっぱい経験するしかない。でもそこで『今日いいわ』ってなっちゃうと、何もない。結果出るはずもないし。ただ、その1打席で何かつかめる時もあるの。追い込まれた状況って、結果が出なくても『あ、この感触、ちょっと何かあるかも』って、つかめることがあるの。 酒井:(うなずく) イチロー:そのきっかけは打席に入らないと獲得できないでしょ。逃げたら打席はないわけだから。そのちょっとした光を求めてほしい。無駄にしてほしくない。それは紅白戦であっても、公式戦でも、そういう気持ちで向かっていってほしい。 酒井:(うなずく) イチロー:そうすると『何とかそのうちなるわ』って思ってる人の所には降ってこないから。苦しんで、そこに立つ人にしか、そういうものって降ってこない。苦しいけど頑張ってそれは。ちょっとしたきっかけをつかめるかもしれないって希望を持ってやってほしい。実際そういうことあるから。 酒井:(うなずく) イチロー:僕は1番バッターだったので、多い時6、7打席回ることがある。5打席凡退して6打席目、立ちたくない。けど行かなきゃしょうがないから。
イチローさんから贈る言葉
そして2日間の練習を終え、イチローさんは部員たちに語りかけた。 イチロー:みんなポテンシャルは高い。努力もできる。体力もある。でも、格下もしくは同等の相手とやるイメージで練習してるように見えるんだよね。違うからね、みんなが目指してる所は。その気迫がなかなか伝わってこない。みんな勉強もしっかりやらなきゃいけない。野球やる時間も限られてる。場所も限られる。いやそんなことを知ったこっちゃないでしょ。だって目指してんでしょ。 公立校が強豪私学に挑むということ。イチローさんは生半可な気持ちでは、かなうわけがないと、厳しい言葉を述べた。 イチロー:この2日は刺激になった?どう?この空気を覚えておいて。1か月経って年が明けたら忘れてしまう。そういうことあると思う。それをチームメイト同士で『お前ちょっと違うんじゃないか』って、それできますか?みんなそれは約束してほしい。重要なのはみんなが目標に向かって頑張って、自分の限界、毎日限界を迎えるっていうのはなかなか難しいことなんだけど、それを重ねていったら、今日のみんなと夏を迎えた時のみんなは、今とはレベルが違う選手になって、人としてもすごく強く優しい子にもなれる、そういう経験を経て、結果が出たら最高だよね。 最後に、加藤日向主将(2年)が感謝の言葉を述べた。 加藤:強豪校からの目線というか、イチローさんの目線を僕らは知らなくて、そういう視点も知れたのが一番の収穫かな思います。イチローさんの貴重な2日間を預けてくださったことにしっかり感謝して、明日からの練習や日頃の行動にも活かして、結果として恩返しできたらいいなと思います。 イチローさんは「しっかり見ておくから。これからはしっかり大冠高校をフォローさせてもらう。そういう気持ちでいます」と言い残してグラウンドを後にした。