QRコード決済と電子マネー、年間の決済額が大きいのはどっちの決済方法?
存在感が薄れ始めている「交通系IC」
では、なぜ「電子マネー」は存在感が薄まっているのでしょうか。その要因にはまずQRコード決済の普及に伴い、電子マネーを使いやすい「おサイフケータイ」の利用頻度がさらに低下したことが挙げられるでしょう。 もっともおサイフケータイはiPhoneで非対応であることから、近年ずっと「下降トレンド」ではありました。そのうえでなお電子マネーの存在感が低下した裏には、交通系ICからの「撤退」が進み始めているという事情がありそうです。
クレジットカードのタッチ決済による電車の乗車
原因のひとつとして考えられるのが、クレジットカードのタッチ決済で公共交通機関の乗車ができるようになってきたこと。2024年5月には東急電鉄のほぼすべての駅で対応を開始。京王電鉄も11月から全線全駅で対応しており、関西の主要4つの私鉄でも10月29日からタッチ決済に対応し始めています。 普段からクレジットカードのタッチ決済に対応している沿線で生活している人や観光客の方にとって、交通系電子マネーを使う必要がなくなったといえるでしょう。そのためクレカのタッチ決済が交通系ICの代わりとして機能し始めており、総じて「電子マネー」の下降トレンドに拍車をかけた可能性があります。 ■交通系ICから撤退する地方の交通機関 さらに、地方の交通機関の中には交通系ICから撤退する動きも見られます。たとえば熊本県の熊本電鉄とバス5社は「対応機器の更新コストが高額」という理由で11月16日をもって交通系ICの使用を廃止。今後はクレジットカードのタッチ決済に対応するとのこと。 特に人口減少が進む地方では、交通系ICの導入メリットが薄れつつある。今後もより低コストで導入可能な決済手段への移行が進んでいくと思われます。
オトナライフ