“職業選択の自由を制限”指摘も…再犯リスクに近づかないことは「当たり前」 性加害・小児性愛の治療専門家【日本版DBS】
■人に言えない性被害 必要なのは…
子どもが性被害を受けている場合、性暴力だと認識できないこともあるし、「これは言っていいことなのか」「これを言ってしまうと今住んでいる世界が壊れるかも」と恐怖を抱き、なかなか人には言えない。 だからこそ、幼少期からの包括的な性教育が重要です。プライベートゾーンや性的同意、性的自己決定権、性交同意年齢を親子で共有するなど、カミングアウトできる関係性が必要です。加害をする人は気づかれたくないので、サインを見つけるのは難しいです。ですが、被害者同様に性的同意の話など基本的なすり合わせを子どもとしておくことで、より早い段階で何かしらの介入はできるのではないでしょうか。 加害当事者から「私たちも正しい性教育を受けたい」との声があり、クリニックでは、2022年から助産師の櫻井裕子さんを招いて、包括的性教育も導入していますが、これをもっと早く学びたかったと全員から言われます。 ──創作物で小児性加害に興味を持つ人もいると思いますが、依存との関連性はどう考えますか。 児童ポルノを愛好し、それを見ながら自慰行為を繰り返すことは、小児性愛障害の直接的な原因にはなりません。一方、クリニックで治療を受けている子ども性加害経験者でかつ小児性愛障害の診断を受けている人の初診時での児童ポルノ所持率は90%以上です。 過去に子どもへの性加害歴があり、小児性愛障害の診断がついた人に関しては、児童ポルノを使った自慰行為が次の性加害の大きな引き金になるというのは、まぎれもない事実であり、とても大きな課題です。児童ポルノをずっと見ているから小児性愛障害になり、子どもに性加害をする、というのは否定されるべきだと思いますが、次の性加害の大きなトリガーになる、これは間違いなく言えると思います。