【40代・50代から知っておきたい!「誤嚥性肺炎」⑦】楽しい「発声トレーニング」で飲み込む力を鍛えよう!
声を出すのが楽しい♪ドクターおすすめの「発声トレーニング」
◆高い声、低い声を繰り返す「喉仏スクワット」 喉仏スクワットは、高音と低音を交互に発声することによって、喉仏を上下に動かすトレーニング。もともとは演劇部などで行われる発声練習をアレンジしたものだ。喉仏は高い声を出すと持ち上がり、低い声を出すと下がる。つまり、高音と低音を交互に繰り返し出すことによって、喉仏の周囲筋(喉頭拳上筋群)を鍛えることができるのだ。 ア(高)→エ(高)→イ(高)→ウ(低)→エ(高)→オ(低)→ア(高)→オ(低)と発声練習する。その際、「ア・エ・イ」は高い声で、「ウ・オ」は低い声で発声する。 思い切り低い声を出したあとに、高い声を出すと、喉仏の持ち上がるのがわかるはず。喉仏に手の指を当てて、足腰のスクワットのイメージで、上下運動を感じながら発声練習をしてみよう。 ◆「1分間音読」で、喉と肺の機能をアップ 喉仏スクワットの応用編として、文章を音読するのもよい方法だ。トレーニング効果を高めるには、はっきりとした大きな声で、抑揚をつけながら音読するのがポイント。 滑舌よく発声することで、舌の筋肉や表情筋の筋力アップにも効果があり、顔のたるみケアにもなる。声に出して音読することで、息を吐き出す力を鍛えることができるし、1日1分間音読するだけで「口すぼめ呼吸」と同じ効果が期待できる。新聞のコラムや好きな本の一節、お気に入りの歌の歌詞などを音読するのもよい方法だ。
◆「ハイトーン・カラオケ」で喉仏の位置をアップ カラオケは飲み込む力をキープするのに、手軽で有効なトレーニング法。楽しく歌っているうちに、喉仏を上下させる飲み込み筋が鍛えられ、呼吸機能も強化されるからだ。特に高い声を出して歌うと、嚥下機能のカギを握る喉仏がグーッと持ち上がるので、できるだけキーの高いハイトーンな曲にチャレンジしてみよう。 《高い声を出すのにおすすめの曲はこれ》 ●初級者向け 『少年時代』(井上陽水) 『春よ、こい』(松任谷由実) 『世界に一つだけの花』(SMAP) 『津軽海峡・冬景色』(石川さゆり) ●中級者向け 『愛のメモリー』(松崎しげる) 『Automatic』(宇多田ヒカル) 『たしかなこと』(小田和正) 『CAN YOU CELEBRATE?』(安室奈美恵) ●上級者向け 『大都会』(クリスタルキング) 『もののけ姫』(米良美一) 『Forever Love』(X JAPAN) 『さくら』(森山直太朗)
【教えてくれたのは】 西山耕一郎さん 西山耳鼻咽喉科医院院長。医学博士、東海大学医学部客員教授、藤田医科大学医学部客員教授。耳鼻咽喉科頭頸部外科専門医、日本嚥下医学会嚥下相談医、日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士。現在は複数の施設で嚥下外来と手術を行うかたわら、教鞭をとりながら、学会発表や医師向けセミナーを行う。著書に『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』(飛鳥新社)、『のどを鍛えて肺炎を防ぐ』(大洋図書)、『誤嚥性肺炎に負けない1回5秒ののどトレ』(宝島社)など多数。 イラスト/カツヤマケイコ 取材・原文/大石久恵