【40代・50代から知っておきたい!「誤嚥性肺炎」⑦】楽しい「発声トレーニング」で飲み込む力を鍛えよう!
声を出すときに使う筋肉と、飲み込むときに使う筋肉はほぼ同じ。食べた物が気管に入ってしまう誤嚥を予防するには、声を出して喉を鍛えるのも効果的だ。喉筋トレと同じ効果が期待できる発声トレーニングを、耳鼻咽喉科専門医の西山耕一郎さんに教えていただいた。
「しゃべる」「笑う」も喉の老化を防いでいる?
喉が老化する原因は加齢だけでなく、喉を使わないことも原因のひとつ。「しゃべる」「笑う」など、人とコミュニケーションをとる機会が減るのも、喉の老化を招く。実はコロナ明けの一時期、西山先生のクリニックでは、「最近むせやすくなった」と喉の違和感を訴えて受診する人たちが増えたのだそう。 「コロナ禍に人とコミュニケーションをとる機会が減ったのも、喉を衰えさせた一因ではないでしょうか。日常的に会話しているかどうかは健康寿命にもかかわります。女性のほうが長生きなのは、おしゃべりすることが好きで、喉が若い人が多いからかもしれませんね。生涯にわたって“食べる楽しみ”を維持するためにも、嚥下機能を衰えさせないことが大事です」 また、「最近、声がかすれるようになった」「声が出にくい」という場合も、嚥下機能(=飲み込む力)が衰えて、誤嚥しやすくなっている可能性がある。発声と嚥下はほぼ同じ器官を使っていて、息を吸うときには声帯が開き、発声する時は声帯が閉じて振動する。つまり、発声することによって、喉の筋肉が鍛えられるのだ。「声が出ない人の治療をしたら、嚥下機能が回復した」というケースも珍しいことではないのだそう。 もしも、喉の老化が始まっていたとしても、老化をくい止めることは可能。喉筋トレーニングや呼吸筋トレーニングとともに、発声トレーニングを行おう。 「特に『歌う』のは効果的。喉仏を上下させる飲み込み筋(喉頭拳上筋群)を鍛えることができるうえ、肺活量もアップします。カラオケを楽しんだり、自宅のお風呂につかりながら歌うのも発声トレーニングになりますよ」