セレンディクスとは?能登「3Dプリンター住宅」で問い合わせ1万件超、意外な別の顔
3Dプリンター住宅の一般化を阻む「法律」のハードル
需要が見込まれる一方で、3Dプリンター住宅の低コスト化を阻むものとして、日本の建築基準法が挙げられる。 現在、技術的にはハニカム構造にすることで、プリント素材だけで十分な耐久性を実現することが可能だが、法律で壁面の中に鉄筋を入れることが義務付けられているため、基礎工事などにコストがかかる。また、2階建て以上については日本の法律上は現時点では不可能だ。 これは日本に限ったことではなく、中国以外の欧米各国でもそれぞれの建築基準法をクリアするのはまだまだ難しい。特に米国では「建設コード」と呼ばれる住宅の安全基準が3Dプリンター住宅に対応していないことから、各社が個別に政府と掛け合って建設許可を申請する必要があり、これが納期とコストに影響を与えている。
JR西日本と提携、「3Dプリンター駅舎」が持つ可能性
こうしたハードルがある一方、セレンディクスにとって明るいニュースもある。JR西日本が駅舎の建設を委託したのだ。これは過疎地の無人駅で、コストよりも短納期を優先した結果、3Dプリントという選択肢が浮上した。 3Dプリント技術を使えば、一夜で新しい駅舎が完成することも可能で、利用者に不便をかけずに済むことが大きい。もしこれが成功すれば、より大きい建造物にも3Dプリンターが導入されるきっかけになるかもしれない。 最後に、フォロフライの社長でもある小間氏は大きな野望として「各拠点で出力された住宅パーツをフォロフライのEVトラックで現地に運び、建設するという企業としての二重効果」にも今後期待を膨らませているという。日本発の3Dプリンター住宅が、世界で戦える日は訪れるだろうか。
■お詫びと訂正[2024/12/10 16:53修正] 一部内容に誤りがありました。本文は修正済みです。 誤:商談に入っているものも3000件 正:購入意向を表明する顧客は3000件 誤:中国からOEMで車体の供給を受けたEVを日本の商用車仕様にして販売 正:日本向けの商用車を開発し中国からOEMで車体の供給を受け販売 誤:EVスーパーカーの製作 正:EVスーパーカーの開発・販売 誤:ラオスで出会った日本人 正:ラオスにいたCOOの飯田 誤:早ければ1日 正:早ければ24時間(作業延べ時間)
執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子