セレンディクスとは?能登「3Dプリンター住宅」で問い合わせ1万件超、意外な別の顔
2024年10月、能登半島地震で被害を受けた石川県珠洲市で3Dプリンターを使って作られた復興住宅が公開された。この「3Dプリンター住宅」を建設したのは、兵庫県を拠点に置くセレンディクスだ。能登の復興住宅をきっかけに、同社には1万件を超える問い合わせが寄せられているという。世界的にも大きな成長が見込まれる3Dプリンター住宅市場の現在地とともに、セレンディクスとはいかなる企業か、同社が注目される理由を解説する。 【詳細な図や写真】2030年までの3Dプリンター住宅市場規模の予測。CAGRは60%を超えると見込まれる(データ出典:スカイクエスト)
3Dプリンター住宅は「10億ドル」の巨大市場に成長見込み
世界的に3Dプリンター住宅が成長を見せている。米調査会社スカイクエストによると、市場規模は2022年に3,682万ドルだったが、2030年には10億5,510万ドルへと、CAGR(年平均成長率)で60%を超える成長率になると見込まれている。2024年現在での主要市場は北米と中国だが、今後は南米、中東およびアフリカ、さらに東南アジア全体での成長が予想される。 3Dプリンター住宅とは、壁などを3Dプリンターによって出力し、それを組み合わせることで建設される住宅のこと。簡単かつ工期が短く、コストを軽減できる家作りの方法だ。現段階では小規模住宅に適用されるケースが多いが、米国では大型の高級住宅にも適用されるなど、3Dプリンター住宅への需要が広がっている。 プリント素材としてはコンクリートが最も多く、かつコストや工期の面でも利点がある。今後の素材もコンクリートが中心になると考えられるが、上位モデルとしてプラスチックや金属などの素材を使った3Dプリンター住宅も増加している。 現在、この領域のトッププレーヤーとしては次の企業などが挙げられる。 特にコンターとアイコンは、それぞれニューヨーク州とアリゾナ州で3Dプリンターによる大型の高級住宅を建設したことで知られている。中国では、集合住宅を3Dプリンターで建てる動きが広がっており、ウィンスンは地上5階、地下1階建てのアパートを2015年に完成させている。