来日27年、新小岩・貴州火鍋の看板店長が「中国の人もお腹を壊す辛さ」にこだわる理由
「泡菜炒鸡珍」1518円 さて料理に戻って、続いては、乳酸発酵させた野菜の漬物と砂肝を炒め合わせたもの。 こちらも非常に辛いのだが、酸っぱさも感じられ、先ほどとは違う辛さを楽しめる。
「折耳根炒腊肉」1848円 貴州料理に欠かせない香味野菜がドクダミの根。これがなくては生きていけないという貴州人もいるほど、現地ではお馴染みだという。
「中国でも食べるのは貴州・四川・湖南の人ぐらい。日本ではなかなか売っていないので、日本の友人に頼んで育ててもらってる。日本のお客さんは、女性は10人中8人は好きだけど、男性は逆。でもハマるとやめられないよ」。 ドクダミには、利尿作用や代謝を高める効果も期待でき、漢方としても人気。 苦味とほんのりと感じる土の香り、そして塩気のある辛さは、珍しい味だが確かにクセになりそうだ。
「灰豆腐火鍋」4950円 そして、店名にもなっている火鍋が登場。今回は、最近まで里帰りをしていたリンさんが現地で買ってきた「灰豆腐」を使った火鍋をオーダーした。 灰豆腐とは、明の時代(1368~1644年)から伝わる貴州の特産品で、お茶の枯れた枝を燃やして灰にし、その中に木綿豆腐を入れて一晩置いたもの。
どんな味がするのか……と心配をしていた灰豆腐だが、弾力のあるがんもどきのような食感で、クセもなく、わりと抵抗なく食べられる。 火鍋のスープにはもちろん唐辛子が使われているのだが、散々辛いものを食べた後だからか、辛いはずなのに、優しい味に感じられるのだ。
「貴州の鍋は、つけダレでそのお店がおいしいかどうかを見極めるの。でもこれは多分日本人には無理だと思うね」と、ニヤリとしながらテーブルに置いていったのは糊辣椒のつけダレだ。 箸の先につけて舐めてみると……痛いほど辛い! 「さすがにこれは無理だ!」と思っていたのだが、食べ進めるうちに、少し付けるぐらいならと、徐々に辛さがクセになってくる。