凱旋試合を完勝した中邑は対戦した憂流迦を一蹴した。(C)THE DIGEST

　完膚なきまでに一蹴だ。 　世界最大の米プロレス団体であるWWEのスーパースターであり、US王者の中邑真輔が１月１日、プロレスリング・ノアの日本武道館大会「ABEMA presents NOAH “THE NEW YEAR” 2025」で佐々木憂流迦（うるか）とスペシャルシングルを闘い、中邑がキンシャサ（膝蹴り）２連発を食らわせ、２年ぶりの凱旋試合を完勝した。 【画像】独占公開！ WWEのUSベルトを掲げる中邑真輔 　入場から「Shinsuke Nakamura」ワールド全開だった。中邑は和太鼓の生演奏とホラ貝の音色が響くなか、鎧武者が被るようなどデカイ甲冑兜と鮮やかな赤い色のコスチュームに身を包んで入場した。甲冑を脱ぐと、白装束スタイルで目元は黒くペイントされるおどろおどろしいビジュアルでノアマットに参上。まさにWWEで戦っているスタイルのまま、憂流迦の前に仁王立ちした。 　序盤は互いにけん制しあう展開も、中邑が場外戦で強烈なミドルキックや膝蹴りをかまし、徐々にペースを握る。さらに憂流迦を挑発するかのように顔面に細かい蹴りを何発も浴びせる。 　中邑の力強い打撃にダメージを蓄積した憂流迦は飛びつきの腕十字やスイーパーなどで反撃に打って出るが、百戦錬磨のスーパースターはどこか余裕の試合運びで憂流迦を子ども扱い。三角絞めで捕獲される場面も、中邑は黒い毒霧を憂流迦の顔面に噴射して逆転する。 　10分過ぎには憂流迦の背後から後頭部へ強烈なキンシャサを炸裂させ、さらに正面に向かってもう一発キンシャサをお見舞いしてジ・エンド。終始、試合の主導権を握った中邑が自らの力を誇示するかのような完勝っぷりで３カウントを奪った。 　 　インタビュールームに現れた中邑は開口一番、「びっくりしちゃうね。何もないや。何もございません」と憂流迦を一刀両断した。 　公開記者会見では「（憂流迦の）思いの丈を聞けました。ちょっと覚悟が決まったかな。どういう立ち居振る舞いするか楽しみかな」と評価していた。ところがこの日、実際に肌を合わせて闘ったあとはガラリ一変した。 「見てくればっかり...持っているんだろうよ、UFCまで行って減量の苦しみから地獄の淵から帰ってきて戦い続ける。そういうとこあるんじゃないのか？　何だよ今のは。中邑がなんやかんや言って、優しい後輩にアドバイス送るんじゃないの？　甘いわ！甘い。自分で見つけろよ！ それが優しさです」 　そして、「感情は何もないですね。さっきも言ったように、あいつのためになることは一言も発するつもりはございません。粉々の恥ずかしい自分の欠片をかき集めて作ってみろよ」と最後まで突き放した。 取材・文●湯川泰佑輝（THE DIGEST編集部）