【渾身の日本酒】群馬の老舗・永井酒造とSAKE HUNDREDが仕掛ける稀有な熟成酒「礼比」のスゴさとは
「礼比」は氷温環境で14年間熟成した稀有な一本
永井さんの最初の研究は家業を継いで間もなくの頃。初任給をはたいて購入した数本の日本酒から始め、試行錯誤の末に辿り着いたのがマイナス5℃以下氷温環境での熟成でした。 氷温でゆっくりと熟成を進めることにより、その香り成分の発生が極端に抑えられ、瑞々しい華やかさを保ったまま。色も熟成といえばアンバーカラーを想起しますが、レモンイエローな点も魅力的です。 醸造の仕方にもこだわりがあり、仕込み水の一部に日本酒を使用し醸造する「累乗仕込み」を採用。深い甘みと旨味を重ねるように醸すことで、10年を有に越える熟成酒でありながら、新酒のようなフレッシュさを生んでいます。 もちろん、熟成酒ならではの甘みと複雑性のある味わいが共存しており、3年間貯蔵したフレンチオークの樽の甘い香りも余韻に残す、日本酒の新たな価値を示す一本に仕上がっています。
現状の課題としては、熟成酒の市場規模はまだまだ小さく、その評価も浸透していないという点があります。そして、熟成日本酒にマイナスイメージを持つ人もいるかもしれません。 しかし、「最初から長期熟成を目指して醸造された日本酒は素晴らしい価値を与える一本となりえる」ことを、「礼比」を高価格帯で販売することで、国内のファンのみならず、世界にアピールすることができるでしょう。 「礼比」に込めた情熱と、体験したことのない豊かな熟成酒の味わいは今後、市場規模の大きいワインやウイスキーと肩を並べる日もそう遠くないと感じさせる体験でした。
●DATA 礼比
取材・文◎亀井亜衣子