【B1シーズン展望】戦力差の縮小は着実に進行…6クラブ目の初優勝クラブ誕生なるか!?
クラブの移動で激戦区と化した中地区
2024-25のB1シーズンの幕が上がる。 年々、戦力差が縮まりより多くのクラブがポストシーズンを狙えるようになってきたと言えるだろう。数年前までのように首都圏、あるいは東地区に属するクラブばかりが優勝を獲りにいく位置にいるという時代は過去のものとなった。 加えて、昨シーズンの結果を受けてB1、B2間で昇降格があったために地区の再編がなされたことは、この新シーズンを見ていくにあたっての重要なポイントとなる。 その中で、最注目は中地区だと言えるかもしれない。今シーズン、ここにアルバルク東京と名古屋ダイヤモンドドルフィンズが他地区から移ってきた。2度のリーグ優勝を果たしているA東京は今回、初めて東以外の地区で戦うこととなった。日本代表の吉井裕鷹が三遠ネオフェニックスへ移籍してしまったが、昨シーズン、クラブ最高勝率を残した戦力の移動はほぼない。一方、エース格のコティ・クラークが島根スサノオマジックへ移籍したものの、先述の吉井に加え、シカゴ・ブルズやクリーブランド・キャバリアーズなどでプレーした元NBA選手のデイビッド・ヌワバも加入で戦力充実の三遠も見逃せない。中地区はA東京と三遠が地区優勝候補の筆頭ではないか。 その他、ライアン・リッチマンヘッドコーチ体制2年目のシーホース三河も要注意だ。まら、昨シーズン、西地区を初めて制しファイナル進出を話した名古屋Dは、今村佳太(元琉球ゴールデンキングス)、ルーク・メイ(元茨城ロボッツ)を獲得、戦力補強に成功した名古屋Dも上位を争うだろう。
東・西地区も勢力図が大きく変わる予想
昨シーズンのファイナル進出の2クラブを輩出した西地区も、チャンピオンシップ(CS)進出席争いが激しくなりそうだ。広島はカイル・ミリングHCが群馬クレインサンダーズへ移っために、昨シーズン優勝の要因となったディフェンス力が維持できるのかが未知数だ。島根もペリン・ビュフォードがいなくなったことで、攻撃力をどのように担保するのか、こちらも不明だ。となれば、勝ち方を知り総合力の高い琉球が最上位に来るか。 長らく最も厳しい地区だとされてきた東地区は、様相をやや変えつつある。その中で、渡邊雄太らを補強し戦力充実の千葉ジェッツと、昨シーズン、最高勝率をあげ面子がほぼ変わっていない宇都宮ブレックスが上位2つの椅子を獲得する可能性が高いと目されている。 そう聞けば「退屈な地区ではないか」と思うファンもいるかもしれないが、広島を優勝に導いたミリングや元MVP・藤井祐眞(前川崎ブレイブサンダース)などが加わり強化した群馬クレインサンダーズが机上の戦力通りの力を発揮すれば、面白くなる。 ダークホースとしては、サンロッカーズ渋谷と長崎ヴェルカを挙げたい。昨シーズンのビッグマンのジェームズ・マイケル・マカドゥを開幕から故障で欠くなどでして、インサイドで苦しみ前半戦での黒星先行が響いてCS進出を逃したSR渋谷は、リード・トラビス(前レバンガ北海道)、阿部諒(前仙台89ers)らを補強。ルカ・パヴィチェヴィッチHC体制2年目の2024-25はより安定感があるはずだ。 長崎は川真田紘也(前滋賀レイクス)、山口颯斗(前茨城ロボッツ)という日本人選手を獲得。さらには得点力の高い外国籍SGのマーク・スミスは相手にとってかなりやっかいな存在となりそう。このチームをオーストラリアNBL(ナショナル・バスケットボール・リーグ)で手腕の評価の高かったモーディ・マオール氏が新指揮官として率いる。テンポの速いゲームで、大物食いをする試合もありそうだ。 SR渋谷も長崎も、CS進出を果たす可能性は十分に秘めている。 と、つらつらと書いてきたが、今のBリーグはもはや予想があまりに困難なものとなってしまっている。選手移籍が流動的であることに加え、世界の舞台を知るコーチが日本で指揮を執るようになり、彼らの手腕によっても順位が変わってくるだけに、見通しがよりしにくくなっている。 今回はあくまで地区優勝やCS争いをしそうなクラブということでこのような内容となったが、格下でも大物食いができる力量を備えたクラブは増えた。その意味でも、今シーズンは総じて混戦となる可能性が極めて高いといえるだろう。 文=永塚和志
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