瀬古利彦氏が2025箱根駅伝を大胆予想 「青学が強いと思うが、国学院は復路スタートが1分30以内なら逆転優勝の可能性があります」
1月2日と3日、東京~箱根間を駆け抜ける箱根駅伝。2024年の大会は青山学院大学が制したが、2025年はどの大学がトップで大手町に帰ってくるのか。往路中継の解説も務める瀬古利彦氏(DeNAアスレティックスエリートアドバイザー)が語り尽くす。【前後編の後編】 【表】3強の青学・駒沢・国学院以外に“ダークホース”の大学も 瀬古利彦氏が注目する箱根駅伝2025の主役候補
12月29日に区間エントリーが発表され、1月2、3日の当日変更もあるが、12月中旬の取材時点で予想される展開を瀬古氏に聞いた。 「基本的に1区はどこも遅れてはいけないので、スタートから飛び出してレースを引っ張る選手は出にくい。ただ、駒沢が故障明けの佐藤圭汰君をここに配置する可能性はあって、そうなれば集団走を経た後半、佐藤君が一気にペースを上げて逃げ切る展開もあり得ます」 鶴見中継所で襷をつなぐとエース区間「花の2区」となる。 「国学院の平林清澄君、駒沢の篠原倖太朗君ら各校エースが集結します。中央は1万mで27分52秒38の自己ベストを持つ溜池一太君(3年)、早稲田は全日本2区で13人抜きを見せた山口智規君(3年)、東京国際大はケニア人留学生エティーリ君(2年)の起用が有力でしょう。 注目は櫛部静二監督率いる城西大。1年から2年連続で2区を走り、今季も好調の斎藤将也君(3年)をどこで使うか。全日本3区で区間賞のキムタイ君が2区なら、山も走れる斎藤君を5区で使う可能性もある。2区で流れを引き寄せ、山登りにつなげる流れです」 12月10日のイベントでは、国学院大の前田康弘監督から「5区に平林」との仰天発言も飛び出したが、瀬古氏は「マラソンへの挑戦を考えても、平林君は平地で勝負すべきでしょうね」と語る。そうなると2区で見ものとなるのが、国学院大・平林VS駒沢大・篠原のエース対決だ。 「トラックが得意な篠原君、ロードが得意な平林君とそれぞれタイプが違う。2区の23.1kmは長いだけではなくて、権太坂の長い上りと、終盤3kmに戸塚中継所まで続く“戸塚の壁”と呼ばれる難所と急な上りがある。平地ならスピードのある篠原君が有利だが、コース特性を踏まえると粘りに粘って平林君が逆転するかもしれない」 そして、往路で最大のドラマの舞台となる5区の山登りがやってくる。 「天候次第でしょうね。青学は山登りに強い若林君、駒沢も経験のある山川拓馬君(3年)という巧者がいて、普通の天候なら彼らが実力を発揮するはず。国学院はわかりませんが、厚い選手層のチームですから相応しい選手が出てくるでしょう」 芦ノ湖の往路ゴールに先頭で入ったチームが総合優勝争いでも有利とされるが、瀬古氏は「国学院なら復路の逆転もある」とする。 「国学院には復路の8、9、10区を渋くつなぐ持ち駒が揃っています。ですから芦ノ湖の復路スタートが先頭から1分30秒以内なら、逆転優勝の可能性があります。逆に言えば青学、駒沢は往路でできるだけ差を広げておく必要があります。それぞれの勝ちパターンに持ち込めるかがカギとなるでしょう」