北陸新幹線「小浜ルート」支持なら、上越新幹線「新宿延伸」も検討すべき? 延伸ルート案と整備効果を徹底検証する
筆者(北村幸太郎、鉄道ジャーナリスト)は前回、当媒体に「北陸新幹線「米原1兆円 vs 小浜5兆円」 そろそろ東京側の二重系も視野に入れた「フェアな議論」が求められるワケ」(2024年11月30日配信)という記事を書いた。要旨は次のとおりだ。 【画像】「すげぇぇぇぇ!」 これが60年前の「米原駅」です! 画像で見る ・小浜ルート推進派は「完全別線でなければリダンダンシー(代替機能)が効かず意味がない」と主張。 ・米原ルート推進派は「米原~新大阪間の完全複々線化」や「米原から別ルートでつなげるべき」と述べる。 ・両者とも、新大阪までの完全別線を求めているが、小浜ルートは5兆円、米原ルートは1兆円で済む。 ・しかし、米原から新大阪まで完全別線にすると費用が過大になり、費用対効果が悪くなる。 ・筆者は、小浜・米原両方の推進派に疑問を感じ、東京側の二重系化が議論されていないことに注目している。 ・上越新幹線は大宮~東京間の線路を東北新幹線と共用しており、東京駅の容量が逼迫している。 ・新幹線の増便が必要となるが、東京駅の構造は全列車の折り返しを要求し、米原ルートより運行のハードルが高い。 ・小浜ルートを推進するなら、大宮~都内の新たな新幹線を整備すべきだと主張。 ・上越新幹線の計画では新宿駅が終点として計画されていたが、現在はその計画が実現していない。 ・新宿駅・池袋駅周辺には、新幹線駅を作る計画があったことが過去の資料で確認されている。 ・今後、新幹線のルートや駅設置に関して、再検討が必要である。 北陸新幹線に完全なリダンダンシーを求めるのであれば、まずは未完成の上越新幹線新宿延伸を早期に実現することが重要ではないだろうか。 それを求めずに、リダンダンシーが効かないという理由で米原ルートの再考をしないのはフェアではないと考え、国鉄時代の上越新幹線新宿延伸計画やその準備用地、構造物について紹介した。 今回のテーマは、もし令和の時代に上越新幹線新宿延伸を実現する場合、どのようなルートで敷設し、建設費や整備効果がどうなるかについて考えてみたい。