北陸新幹線「小浜ルート」支持なら、上越新幹線「新宿延伸」も検討すべき? 延伸ルート案と整備効果を徹底検証する
大深度地下で実現する高速化
上越・北陸新幹線の大宮以南区間は、当初、現在の湘南新宿ラインが走る貨物線を利用する計画だったが、今新たに作るとなるとルートの再設計が必要になる。 しかし、1970年代や1980年代では考えられなかった工法や大深度地下の活用が進み、以前よりもルートの制約が緩和されてきた。そのため、現在の大宮~上野間での騒音や急なカーブで速度が出なかった問題も、大宮~池袋間では改善される可能性がある。 もし、大宮以北と同じ275kmで走行できれば、東京~大宮間は24分(上野通過タイプ)から、新宿~大宮間は最速15分(池袋通過タイプ)に短縮され、9分の短縮が実現するだろう。ここから先はあくまで想像の話として楽しんでほしい。
最小限の用地買収で理想のルート
今回は、リニア中央新幹線の東京周辺のルート設計を参考にし、大深度地下を活用した直線的なルートで大宮~新宿間のルート案を考えた。 用地買収を最小限に抑えるため、現有地や大通りの直下をできる限り活用する方針を採った。 その他の区間については、大深度地下を前提に、約5kmごとに非常口を設置できるように検討した。その結果、これらの条件に合ったルートを見つけることができた。
令和版新幹線新宿ルートの全体像
そのルートは、大宮から中浦和駅手前まで埼京線と並行し、途中で与野本町~南与野間でトンネルに入り、中浦和駅手前から大深度地下に達する。 その後、外環道の美女木ジャンクション(JCT)付近にある新田公園、高島平団地、東武東上線の上板橋駅付近を通過し、川越街道直下を通り、最終的に池袋・新宿に至るというルートになると考えられる。
大宮~北与野間の難工事
大宮から新宿に向かって、まずは埼京線の大宮~北与野間を見てみよう。 この区間は、今回の延伸工事で最大の難工事箇所になると考えられる。 既設の東北新幹線高架橋は、新宿方面の高架橋増設を前提に作られているが、増設用地には送電設備の建物や淑徳学園の入り口があり、これらの移転が必要となる。 また、北与野駅北部には巨大なタワーマンションがあり、用地制約が厳しいなかで高架橋の拡幅や既設の東北新幹線との立体交差を作る必要がある。 このような点から、この区間は施工難易度が高いといえる。 そこで、既設の高架橋の上に柱を置いて新たに高架橋を構築する部分も出てくるが、これは上野東京ラインの神田~東京間の勾配部などで施工実績があるため、無理な話ではないだろう。