18歳の“直接CK弾”に衝撃…技で魅せたプロ内定エース、守備陣形を見て「逃さない」
正確パスで局面打開、大津の10番MF嶋本悠大が持ち味発揮
まさに時間と空間を自在に操る男と言っていいだろう。プレミアリーグ王者・大津の10番を背負う18歳MF嶋本悠大(清水エスパルス入り内定)は、試合の流れの中で常に周囲を見渡しながら、相手の守備を一発で破壊するスペースを探し出し、ボールを受けたらそこに正確なパスを通す。 【実際の映像】大きく曲がった直接CK弾…高校生プロ内定エースが決めた衝撃ゴール 「僕は常に相手が見えていないところを狙いたいですし、そこに味方が合わせやすいボールを出すことを意識しています。僕がボールを受ける位置、ドリブルする角度によって前の選手の動きが変化するので、その変化も見逃さないようにプレーすることを意識しています」 彼の空間把握能力と変化に気づく目、正確なキックの精度の高さはプレミアWESTで実証済み。ユース年代真の日本一という看板を提げて臨んだ選手権でも、そのクオリティーは相手にとってとてつもない脅威となって発揮されている。 1回戦の福井商業(福井)戦。相手は6バックに3バックを並べるという極端すぎる守備を敷いてきた。エースストライカーのFW山下景司、183センチのMF兼松将の周りには常に2、3人の選手がおり、ペナルティーエリアには4人以上が張り付いている状態。完全なるハーフコートゲームになりながらも、ボックス内ではなかなか自由がもらえない展開となったが、嶋本は非常に冷静だった。 単純にサイドからクロスの雨を降らせるだけではなく、6バックのわずかなスペースにループパスを積極的に狙い、特にポケット(ペナルティーエリア内の左右のスペース)へ送り込むパスは徐々に相手の守備に亀裂を生み出していった。1-0で迎えた後半21分にはバックパスを受けると、一度前を向いて相手を牽制してから右足インフロントでゴール前の兼松の頭にピンポイントでロビングを入れて追加点をもたらす。同30分にも中央から力が抜けた柔らかいフォームでポケットに飛び込んだ山下へドライブ回転のかかったパスを通して3点目を生み出した。 下でダメなら上を通す。外からのクロスがダメなら、中央からペナルティーボックス内の相手が予測をしていない場所に正確に落として相手の守備を無力化にする。まさに時間と空間を制するプレーで初戦好発進の立役者となった。