2人の絆を深める、決定の簡単なルール「2人ならイエス、1人だけならノー」
たいていのカップルはよく知っているだろうが、2人でいっしょに大きな決断を下すのは簡単なことではない。新しい街に引っ越す、ペットを迎える、バケーションの行き先を決めるといった機会は時に、個人的な好みと、2人の関係にとってベストな選択のせめぎ合いのように感じられる。 だがもし、このような場面でスムーズに決断を下しつつ、2人の絆を強めることができる簡単なルールがあるとしたらどうだろう? ルールの名前は、「2人ならイエス、1人だけならノー(Two-Yes, One-No)」だ。これは、パートナーの両方に影響がある大きな決断を下す時には、必ず2人が合意していることを確認してから進めることを意味する。もしもパートナーのどちらかがノーと言ったら、判断をいったん保留する。意見の不一致は、次の行動に移る前に、さらに掘り下げた検討や対話を重ねる必要があるという意味だ。 このアプローチは、それぞれの個人としての感情や境界を尊重している。健全な結婚生活には、なんといっても、相互の自律性の尊重が不可欠だ。 「2人ならイエス、1人だけならノー」のルールが結婚生活に恩恵をもたらす理由を、心理学研究に基づいて、以下で説明しよう。 ■1. 思慮深い意思決定を促す 「2人ならイエス、1人だけならノー」のルールにより、意思決定の場面において丁寧で思慮深いアプローチが促される。後悔につながりがちな、衝動的な選択のリスクが大幅に減少する。 学術誌『Journal of Experimental Social Psychology』に掲載された論文は、性急な意思決定が後悔を生みやすい理由を、「即決は失敗のもと」という理論で説明している。同研究によれば、短時間で意思決定をするようにプレッシャーをかけられた人は、選択を後悔しがちだ。これは、選択肢を適切に比較する十分な時間がなかったという思いに起因する。 「2人ならイエス、1人だけならノー」のルールでは、双方の合意が必須であるため、より意識的な判断を下す余裕が生まれる。このルールは2人に、決断がどのような感情的・実質的・長期的影響をもたらすかを、じっくりと検討することを促す。 また、こうして立ち止まることで、ストレスや焦り、興奮といった即時的な感情的反応から距離をとることができる。一時の感情に流されることなく、時間をかけて熟慮し、選択が2人の共通の価値観や目標と合致するかどうかを確かめることができるのだ。 ■2. 健全なコミュニケーションと信頼を培う 「2人ならイエス、1人だけならノー」のルールは、相互の尊重と透明性が保証される環境をつくりだす。 このルールはカップルに、ただ単に対立を避けるために同意するのではなく、積極的に対話し、自分の本当の好みやニーズや境界を伝えることを促す。このような対話によりカップルは、お互いの意見をより良く理解できるようになる。そして、共感と明確さをもって、難しい決断を協力的に下す能力が高まる。