小泉進次郎氏を起用へ――「政務官」ってどんなポストなの?
安倍晋三首相が9月30日に行う予定になっている副大臣・政務官人事。なかでも、もっとも注目を集めているのが、自民党青年局長を務める小泉進次郎氏の処遇です。一部報道によると、復興政務官への起用に向けた動きがあるそうですが……そもそも、政務官とはどんな役職なのでしょうか?
中央省庁再編時にポスト新設
この解説の前に、まず2001年に行われた中央省庁再編を説明しなければいけません。この年、それまで1府21省庁だった行政機構が、1府12省庁にスリム化されました。大蔵省が財務省に、文部省+科学技術庁が文部科学省に、運輸省+建設省+国土庁+北海道開発庁が国土交通省になるなど、大規模な中央省庁再編が行われたのです。 この時、各省のポストも大幅に改革されました。大臣の下に「副大臣」と「大臣政務官」の2つのポストが新設されたのです。実は、この大臣政務官がニュースなどの報道番組で登場する政務官の正式名称。両者はどちらも大臣の補佐役の役割を果たしますが、立場が異なります。 副大臣は大臣の下に置かれ、大臣の命を受けて省庁の政策全般を司ります。また、大臣が不在の際はその職務を代行し、国会で答弁することも。一方、大臣政務官はその省庁の特定の政策や企画に参加して、大臣を補佐するに留まります。 なお、各省庁において大臣は1人ですが、副大臣や大臣政務官は複数人いるケースが目立ちます。人事改定前の大臣政務官の人数は、たとえば財務省や経済産業省は2人、外務省は3人、復興庁は4人。1人しかいないのは法務大臣政務官です。
「官僚主導」から「政治主導」へ
中央省庁再編以前は、各大臣の下には「事務次官」と「政務次官」の2つの役職が置かれていました。事務次官は中央省庁の官僚たちのトップに位置し、大臣を事務方として支える役職です。政務次官は大臣を政治の面で支える役割を担い、建て前としては両者の立場は対等でした。 ところが当時、政務次官のポストには、当選したての若手議員が政策の勉強のために就くことが大半だったのです。そのため、官僚たちは大臣の言うことは聞くものの、政務次官の言うことは無視するケースも。「いてもいなくても支障がない」という意味で、中央省庁の「盲腸」と揶揄されていました。 そこで、2001年の中央省庁再編時に政務次官を撤廃し、副大臣と大臣政務官を新設。大臣の下に副大臣を置き、事務次官よりも高い立場を与えました。大臣政務官に特定分野の政策を担当する議員を起用することで、大臣、副大臣、大臣政務官による「政治家チーム」の強化を図ったわけです。 日本の政治は、選挙で選ばれた国会議員の中から総理大臣を選出し、総理の任命で内閣が組織。さらに、大臣が各省庁のトップとして、官僚たちに指示を出すのが本来の形です。ところが、実際は官僚が絶大な力を持ち、「官僚主導」になっているとの批判が相次ぎました。2つのポストの設置には、そのような状況を是正し、「政治主導」を強めるためという背景があったのです。 (南澤悠佳/ノオト)