配達遅延が続出 消費税増税が浮き彫りにしたネット宅配の浸透ぶり
4月の消費税増税を前に、国内の物流に異変が起きている。「増税よりも前に安く買おう」という駆け込み需要が高まっているのは周知の通り。確かに、前回の税率アップ(3→5%、1997年)や、消費税導入時(1989年)にも、直前の駆け込み需要で買い物をする人が増えたのは事実だ。 しかし今回は、インターネットが普及して初めての消費税増税であるだけに、様子が前回までと少し異なる。お店に足を運ばずとも、手軽にネットでお買い物の注文ができるようになった。その結果、今回の駆け込みによるネット購入が3月末に近づくに連れて大幅に増えており、過去の3月にない大量の商品配達に、宅配業者が悲鳴を上げている。 「困るなあ、きょう明日に届かないといけないのに」 3月28日午後、東京都港区のあるイベント施設に、「お届け遅延のご連絡」というA4判一枚の文書が届いた。50代の施設スタッフ男性はその紙を手に、ため息を漏らした。29日の夕方に行うイベントの設営のために、事務用品を注文していたが、それが「配送会社(ヤマト運輸)の混雑」のため、1~3日遅れてしまうという。 その文書を発行したのは、文房具やオフィス用品の通販大手のアスクル(本社・東京都江東区)。かつては文房具の小売りは、町の文房具屋さんが担っていたが、アスクルはインターネットを通じて注文を一括して受け、当日または翌日にお届けしてしまうというビジネスモデルで全国に浸透。まさにネットと宅配の恩恵を受けて、この10年ほどで急成長した会社だ。2013年5月期の売上高は2266億円に上る。 アスクルの運営するサイトをみると、最初に「消費税アップに伴う配達遅れ」のお知らせを出したのは3月24日。この時は「通常は当日お届けを、翌日までのお届けに変更」だったが、27日には「1~2日遅れる可能性」に。そして28日には「1~3日程度遅れる可能性」と、徐々に遅れの幅が拡大している。このことからも、当初の想定を上回る注文が立て込んでいるようだ。