メスだけで繁殖する外来ザリガニ「ミステリークレイフィッシュ」日本に上陸
食用目的輸入され、逃亡個体が野生化した「ウチダザリガニ」
日本にはもう1種、有名な外来ザリガニが生息しています。それがウチダザリガニです。こちらも食用目的で1926年に北米から輸入され、北海道を中心に養殖が行われ、その逃亡個体が野生化しました。 本種はアメリカザリガニよりも冷水を好み、これまでに北海道、福島県、栃木県、長野県、滋賀県の湖沼や河川で分布が確認されています。冷水性とされますが高温耐性も備わっており、千葉県でも定着が確認されています。環境適応能力は高そうなので、今後、全国的に分布を広げる可能性も懸念されます。 アメリカザリガニと異なり冷水域で分布を広げたことから、在来種のニホンザリガニの生息域を奪い、密度低下を招いていることが問題とされます。また阿寒湖では、天然記念物のマリモを食害することが報告されています。 ウチダザリガニは、アメリカザリガニよりも大きく、食べ応えがあるので、北海道では積極的に捕獲個体を食材として活用する事業が進められています。食べて減らすという活動は、外来生物駆除において非常に有効な手法と考えられますが、一方で、商業価値をもってしまうと市場原理で持続的な安定供給が求められることとなり、駆除の妨げになる可能性も考慮に入れておく必要があります。 実際に、売れれば売れるほど、食材としての外来種の駆除は進むことになりますが、駆除が進めば売り物が入手できなくなり、商売としては成立しないことになります。そうなると販売業者が手を引き、捕獲圧が低下することで、また外来種個体群が復活することに……。 いずれにしても、密度が低下してから根絶に導くまでは、コストばかりがかかって利益が見込めない作業となりますから、やはり政府や自治体が責任を持って駆除活動を継続する必要があります。 また、外来ザリガニが水生生物であることも駆除を困難なものとしています。水を汚染させることになるので、化学的な防除は極めて難しく、現状では捕獲以外に手段がありません。