神鋼商事と神和アルミ工業、真岡市でアルミチャンバー加工。半導体製造装置需要を捕捉
神鋼商事は国内で半導体製造装置用アルミチャンバー加工に乗り出す。3日、神和アルミ工業(本社・栃木県真岡市、社長・神保宗博氏)と合弁会社を設立すると発表した。栃木県真岡市に新工場を建設し、2026年までに稼働できる体制を整える。神和アルミ工業の持つ厚板加工ノウハウを活用し、成長が見込まれる半導体製造装置市場での販売拡大を目指す。 神鋼商事と神和アルミ工業は6月中に「神商精密」を設立する。資本金は1億円(出資比率は非公表)。真岡市に工場用地を取得し、新工場にはアルミ厚板の切断機や切削加工設備、検査装置などを導入し、半導体製造装置に使用する小型から大型までの幅広いアルミ製真空チャンバー部材を製造できる工場を立ち上げる。 神鋼商事が加工に乗り出すのは、内部を真空状態に保つための密閉容器「真空チャンバー」のアルミ部材。半導体製造装置にも利用されるもので、神鋼商事としては中国子会社の神商精密器材(蘇州)で多くの加工実績を持っている。今回、新たに国内にも加工拠点を構えることで成長が期待される半導体製造装置分野への取り組みを強化。さらにBCP需要にも応える。神商精密器材(蘇州)が持つ製造ノウハウを横展開するため、工場立ち上げ以降は中国拠点との技術交流も積極化する方針。 神和アルミ工業は1975年設立のアルミ加工会社。ウオータージェットなどの各種切断機、マシニングセンターといった機械加工機を多数保有し、自動車パネル材の切断事業や液晶・半導体製造装置の機械加工事業、航空機用材料の切断・機械加工事業、ヒートシンクの製造などを手掛けている。神鋼商事とは素材調達などの面で取引が長く、アルミ切削屑を再生塊としてアルミ圧延メーカーに戻す水平リサイクルにも共同で取り組んでいる。新会社でもチャンバー加工とのシナジーによる競合との差別化とカーボンニュートラルにつなげる計画。