【台湾】台風18号、勢力保ち上陸へ 「致災性」強風や豪雨の予想
台湾交通部(交通省)中央気象署は1日、強烈な台風18号(クラトーン)が2日に勢力を保ったまま台湾南部に上陸するとの予測を示した。南部では「致災性」の強風となるほか、東部や南部では「豪雨」以上の等級の降雨になる恐れがあるとして注意を呼びかけた。 気象署によると、台風18号は1日午後2時現在、高雄の南南西約210キロメートルの海上を北から北北東に進んでいる。中心気圧は910ヘクトパスカルで、中心付近の最大風速は秒速55メートル、瞬間最大風速は68メートル。現在の勢力は日本の気象庁の「非常に強い」から「猛烈」に相当する「強烈」となっている。 気象署は、台風18号が勢力を保ったまま南部に上陸した後、東北に向かってゆっくり移動すると予想。南部では「致災性」の強風となる可能性があるとして、最新情報を確認するよう呼びかけた。また東部や南部、中部と東北部の山間部では「豪雨」以上の等級の降雨になり、特に東部や南部の山間部では雨量が急速に増加する恐れがあるとした。 気象署によると、9月29日午前0時から10月3日午後0時までの各地の予想降水量は◇台北市平野部:200~350ミリメートル◇台北市山間部:400~600ミリ◇新北市平野部:300~500ミリ◇新北市山間部:400~600ミリ◇花蓮県平野部:500~800ミリ◇花蓮県山間部:700~1,000ミリ◇台東県平野部:700~1,000ミリ◇台東県山間部:800~1,300ミリ◇屏東県平野部:300~500ミリ◇屏東県山間部:500~800ミリ――など。台風の勢力が上陸後に弱まるとみて、台北市と新北市の予想降水量を引き下げた。 ■国際線キャンセルも 気象署は1日午後2時30分時点で、雲林、嘉義、台南、高雄、屏東、恒春半島、花蓮、台東、澎湖を対象に陸上台風警報を発令。行政院(内閣)人事行政総処によると、嘉義県、台南市、高雄市、屏東県、花蓮県、台東県が1日を対象に出勤・通学を停止する「停班停課」を実施。澎湖県と連江県は1日午後6時からを対象に停班停課措置とした。 交通部によると、台湾鉄路(台鉄)は1日、西部幹線と東部幹線、北廻線、南廻線の一部または全ての運行を停止。空の便は午後3時時点で域内線が84便、国際線が9便それぞれキャンセルとなった。海の便は16航路の延べ152便が欠航。内訳は域内線が122便、中国線が30便だった。 公営の台湾電力(台電)によると、1日午後5時までに全域の1万717戸で停電が発生した。このうち復旧したのは1万293戸。424戸では停電が続いている。 内政部(内政省)消防署によると、台風18号によるインフラなどへの被害は1日午後2時までに計164件確認された。うち街路樹の関連は最多の37件。このほか、建物の損壊が19件、民生インフラに関するものが17件などとなっている。 県市別では、新北市が28件で最も多く、これに新竹市が14件、屏東県が12件で続いた。 負傷者は1日午後2時までに23人が確認された。内訳は新北市が5人、桃園市、南投県、台東県が各4人などとなっている。 中央通信社によると、東部幹線道路「蘇花公路」では落石と土石流が発生し、交通部公路局が対応に追われた。 花蓮県では登山客3人が川の増水により身動きの取れない状態になり、花蓮県消防局などによって救助された。