うめきたに文化の新拠点「VS.」 パフューム展手がけた吉田ユニが個展 気鋭のアーティスト発信へ
今秋、JR大阪駅北側に開業した再開発区域「うめきた2期(グラングリーン大阪)」。その一角に新進気鋭のアーティストらを発信する文化の新拠点「VS.(ヴイエス)」がオープンした。現在アーティストやブランドのイメージ写真などを手がける吉田ユニの個展「PLAYING CARDS(プレイング カーズ)」が開かれている。(安藤真子) 【写真】バナナでジャックの毛並みを表現するなど、細部までこだわった作品が並ぶ 「VS.」のコンセプトは多彩な国や時代、ジャンルの人、アイデアが鼓舞し合う「良い対峙」と、伝統文化とテクノロジーの「対話」を目指す「文化装置」。空間は大きく四つに分かれ、延べ床面積は計1400平方メートル。大小の個展や音楽など多様なイベントができるという。 オープニングイベントでは、メディアアーティストの真鍋大度が約1カ月間、新作個展を開催。数学的アルゴリズムや音楽プログラミング、3D建築データを活用して制作したインスタレーション(空間芸術)で、音や映像が空間と融合するという体験を届けた。 吉田は広告やCDジャケット、映像など幅広い分野で活動するアートディレクター。2023年に兵庫県立美術館で催した女性3人組ユニット「Perfume(パフューム)」の衣装展「Perfume COSTUME MUSEUM(パフューム・コスチューム・ミュージアム)」(神戸新聞社など主催)でメインビジュアルを担当した。 個展は関西初。菓子や果物、文房具など身近な物を使ってトランプの絵柄を表現した。天井高約15メートルの展示室「スタジオA」では、幅約80センチ、縦約110センチの巨大トランプのタワーが目を引く。周囲には54枚のトランプ作品が並ぶ。3粒のブルーベリーとミントで絵柄のクラブを再現したり、リンゴやグレープフルーツの皮をくりぬいてジョーカーの顔を表現したり、ちゃめっ気あふれるアイデアに驚かされる。「少し視点を変えるだけで違った世界が楽しめる」というメッセージを込めたといい、柔軟な発想で日常を見ていた幼少期を思い出させる。 真鍋とコラボレーションした映像作品や、トランプ作品が完成するまでの過程を記録した映像もある。施設を運営する共同体の一つ、トータルメディア開発研究所の田中彩葉さんは「日常で見落としている、楽しい気づきを与えてくれる。お気に入りの絵柄を見つけてほしい」と話した。 12月5日まで。午前11時~午後8時(金土は同9時)。一般1800円、大・専門学生900円、中高生500円、小学生以下無料など。