児童精神科の看護師【こど看さん】に訊く、子どもの心の守り方。お=おびやかさない、す=すぐに助言しないなど、9つのポイント「おすしさいこうかよ」とは?
「おすしさいこうかよ」を意識して、子どもの心を守ろう
■子どもと関わるときに意識したい9つのポイント お・・・おびやかさない す・・・すぐに助言しない し・・・叱責しない さ・・・最後まで話を聞く い・・・意向を軽視しない こ・・・子どもが使う言葉を使う う・・・疑わずにいったん信じる か・・・感情を否定しない よ・・・余計なひとことを言わない ――本でも書かれていた、こど看さんが子どもと関わる時に意識している9つのポイント「おすしさいこうかよ」もぜひHugKum読者に紹介したいです。また、子育て中の読者へのメッセージをお願いします。 こど看さん:子どもと関わる時の意識をまとめようと思ったときに、まず最初に思い浮かんだのが「おびやかさない」でした。親が言う「おやつなしだよ!」「○○するなら遊びに連れて行かないよ」という言葉は、子どもからすれば立派な脅し文句なんですよね。「みんながやっているんだから」と、子どもが苦手としていることを強要するのも、子どもをおびやかす行動の一つです。私たち大人の言動によって、子どもの居場所を簡単に危険な状態にしてしまう事実を忘れてはいけないと思っています。それが、この本の『子どもの傷つきやすいこころの守りかた』というタイトルにもつながっているんです。 また、子どもの話を遮らずに最後まで聞くというのもとても大切だと思っています。子どもって突拍子もないことを言ったりしますよね。でも、そういうときに子どもを否定するのではなく、「あなたはそう考えてるんだね」という感じで話を聞いてあげてほしいです。親に話を聞いてもらえたという経験はポジティブにその子の中に残るので、じゃあ自分も他人の話をちゃんと聞いてみようという視点が生まれると思います。 ただ、これらの9つのポイントや、私が本に書いた内容を完璧にしようとする必要はありません。本を読むとつい「1個もできてない」「自分はダメな親だ」とか、そういう視点になりがちなんです。でも、そんな方だって、客観的に私たち支援者から見ると、できていることがたくさんあるし、優しいお母さん、優しいお父さんなんですよね。ですから、自分ができそうな時に、「そんな言葉もあったな」と思い出してみてください。うまくいかないことがあっても自分を責めないでくださいね。 そして、もし子どもの様子を見ていて、家族の中で抱えるのが難しいという状況になった場合は、ぜひ早めに精神科のクリニックを受診してください。「精神科」と名前がつくところを受診するのは心理的なハードルが高いかもしれませんが、子どものためにも、家族のためにも、早めに医療や福祉につながることをおすすめします。 ――力づけられます。本日はありがとうございました! 【お話をうかがったのは こど看|精神科認定看護師】 精神科認定看護師。精神科単科の病院の児童思春期精神科病棟に10年以上勤める。現在も看護師として病棟勤務しながら、「子どもとのかかわりを豊かにするための考え方」をSNS等で精力的に発信中。メンタル系YouTuberの会所属。一児の父。その他講演会やメディア取材なども通し、小~高校生への関わり・対応についてのヒントを、 現役子どもの精神科病棟勤務医ならではの視点で、分かりやすく、ゆるく解説中。
取材・文/平丸真梨子