児童精神科の看護師【こど看さん】に訊く、子どもの心の守り方。お=おびやかさない、す=すぐに助言しないなど、9つのポイント「おすしさいこうかよ」とは?
子どもに積極的に休憩を促して、「頑張りすぎない」経験をさせることも大切
――本の中に、「子どもに休憩を提案することも大切」と書かれていました。どんなふうに声をかけるのがよいでしょうか。 こど看さん:大人は経験的に、「今疲れてるわ~」「これ以上やったらまずいかも」というのがわかりますが、子どもは「自分はどのくらい疲れているのか」「いつ、どうやって休むのか」をあまり理解していません。ですから、大人から休憩を促していくのはすごく大事かなと思います。 ただ、頑張り過ぎている子に「頑張らなくていいよ」とだけ伝えると、「今までの頑張りを認めてもらえなかった」「自分は頑張りたいのに、勝手に判断しないで」と感じさせることもあります。そのため現場では「○○さんはかなり頑張っているし、少し休んでもいいんじゃない? って思っているんだけど…正直休んでもいいと思えてる?」のように伝えています。「今すぐ休みなさい」と指示するのではなく、休憩を何回か提案していく、という感じですね。 休憩の仕方としては、親子でごろごろしたり、おやつを食べたりするのがおすすめです。一人で熱中しすぎるゲームは頭がなかなか休まらないので、一緒に遊べるゲームがいいと思います。大人が一緒に休むことで、子どもも「休んでいいんだ」と経験的に理解することができます。
大人の不機嫌が、子どもをいい子にさせてしまっている
――本の帯に書かれている「大人の不機嫌は子どもを無理やり”いい子”にさせる!?」という言葉を見たときはドキッとしました。 こど看さん:子どもは大人の不機嫌を見ると不安や恐怖を感じ、「大人を怒らせないようにしよう」と一生懸命頑張るので、周りからはいい子に見えるのです。ですから、私は子どもが「いい子にしてるな」と思った時に、自分の不機嫌を子どもに向けていないかな?と自問しています。 ただ、このことを言うと、ドキッとする大人も多いと思います。これは決して「大人は不機嫌になってはいけない」というメッセージではないんです。ただ、「ちょっと言い過ぎちゃったかも」「子どもに気を遣わせちゃったかも」と思ったら、そのままその子に伝えればいいと思います。「いや、さっきなんかイライラしちゃってて、 本当はそんなこと思ってないのに、ちょっと言っちゃったんだ」と素直に伝えて、誠実に謝ることができれば、子どもは「自分が大切にされている」と感じるはずです。 さらに、「もし今度イライラしたら、ママ(パパ)はちょっと別の部屋にこもるね」のように改善策を子どもに示して、実際にイライラしそうになったらそれを実行する、などもおすすめ。自分の気持ちが落ち着いたら子どものところに戻って「もう大丈夫、待っててくれてありがとう」と伝えたらいいですね。 口先だけで謝るだけではなく、実際に行動するという大人の姿を見せられると、子どもも安心できると思いますよ。