「SHOGUN 将軍」日本人プロデューサーが求めた「正しい選択」 歴史的快挙の裏側&シーズン2の展望【インタビュー】
日本人がプロデューサーとして参加できたことも、日本描写を正しく届けることにおいてプラスに働いた。「かなり早い段階で指摘できたり、アウトラインの話し合いの席や脚本が上がってきた段階でも(間違っている箇所を)言うタイミングがありました。撮影現場では、プロデューサー用のテントがあり、モニターを確認しながら、寒い中何時間も座って、震えながらモニターを確認していました。(真田とは)信頼関係も築きますし、友情も育むことができました」
宮川は、鬼才クエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』(2003)で翻訳家を務め、マーティン・スコセッシ監督の『沈黙 -サイレンス-』(2017)では共同プロデューサーを務めるなど、ハリウッドにおける日本描写の変化を長きに渡って見届けてきた。「SHOGUN 将軍」の快挙は、その変化を「強く後押しする」と断言する。 「北米では最近、多様性(ダイバーシティー)やプレゼンテーションという言葉をよく目にします。マイノリティーであったり、普段スポットライトが当てられてない人たちを描く時に、その文化だったり、その中にいる人の声をリスペクトして聞き入れて、正当にその画を描かなくてはいけません。もちろん、今でもそれができていないのではないかと思う作品も結構あります。そういう意味で、『SHOGUN 将軍』が本当に画期的だったのは、真田さんや私がプロデューサーとして発言権を持ち、早い段階から参加できたことで、ディティールまでこだわることができたこと。この規模感で日本を舞台にした作品だと、最後はディティール勝負になってくるので、それは本当に大きかったと思います」
「ハリウッドもどんどん多様になってきましたが、まだまだだと思うんです」と宮川は続ける。エミー賞授賞式という大きな舞台で、メリル・ストリープ、ナオミ・ワッツら錚々たる俳優たちと肩を並べるように真田やアンナ・サワイが出席したことは「大きな意味がある」と力を込めた。「真田さんもアンナさんも『これがスタートだ』と仰っていて、その通りだなと思います。やっと同じ入り口に立てたのかもしれない。これから、もっと同じ土俵で作品づくりができたら嬉しいです」