明治創業の寿司店で粋なランチ! 日本橋で本格的な江戸前寿司を気軽に楽しみたい
そこから「蛇の市」になったそうだ。文豪が絡む老舗らしいエピソードだ。
中庭テラスの和個室は、特別な日におすすめ
5年前、中庭に設けられた和の個室。周囲をビルに囲まれているとは思えない静寂さと落ち着いた雰囲気がある。カウンターで店の方とのやりとりを楽しみながらの寿司も良いが、接待や特別な人と来る時は、こういった個室も便利だ。
武智さん「日本橋。老舗。江戸前寿司。そして、この和個室。特別感の重ねがけは、おいしいお寿司を一層おいしく、楽しい時間をさらに充実したものにしてくれます。少し背伸びしてでも一度は利用してみたい、憧れの空間です。」
5代続く老舗 伝統の味を守りつつ、変えていく仕事で“いま”をつくる
5代目の店主となる寳井 英晴(たからい ひではる)さんが大切にしているのは「伝統を守りつつも変えていく勇気を持つこと」。例えばシャリ。砂糖を使わず塩と赤酢のみで仕上げているが、米は先代が選んだコシヒカリとあきたこまちのブレンドではなく、能登で育てられた「笑みの絆」を使用。赤酢のメーカーも塩も英晴さんの代で変えたそうだ。「赤酢と塩と米。その組み合わせは変えませんが、どこで作られたものを使い、どう配合するかは時代のニーズに合わせて変えていく……“変えずに変える”とでもいうんですかね。その必要があると思っています。そうでないと先代を超えられないし(笑)、いつか時代に取り残され、飽きられ……長くは続けられないですよ」(英晴さん)
後ほどご紹介する白身のすり身を練り込んだ卵焼きでシャリを包んだ「玉子巻(のの字巻き)」は、英晴さんが昔の文献を探り、現代によみがらせたもの。今では店の名物にまでなっている。
武智さん「英晴さんは「“変わらずに変える”。それができた店だけが長く続けられていると思います」とも。歴史があればあるほど伝統を守ることに気を取られがちですが、攻める姿勢も忘れていません。そんな大将が握る時代を反映した江戸前の握りは、味、見た目ともにさすがのひと言です。」
先のシャリや創業当時からつぎ足されている煮詰めを使った煮穴子、砂糖を使わないキリッとしたガリなど創業以来のこだわりと、豊洲をはじめとした市場から届く新鮮な魚介を使った握りが盛り込まれるセットは味わい、ボリューム、価格、すべてにおいて満足のいく内容だ。