太陽が育んだ伊産完熟トマトを日本へ、イタリアのトマト缶事情 品質に絶対的自信 高品質を適正価格で
イタリアのトマト保存加工企業で構成するイタリア野菜保存食品産業協会(ANICAV)は、欧州連合(EU)の経済協力により展開する欧州産トマト保存食品の啓発キャンペーン「レッドゴールドフロムヨーロッパ(Red Gold From Europe)」を展開しており、ヨーロッパとイタリアのトマト缶の日本における消費および輸出を促進するためのプロモーションキャンペーンを展開している。 ANICAVの会員企業でもあるカンパーニア州サレルノ県にあるトマト缶詰のソラニア(SOLANIA)工場は、約30年以上前に設立され、自動化や効率化を重視した近代的な工場として知られ、様々な部分に技術革新が図られている。 農家出身のナポレターノ・ジュゼッペ(Giuseppe Napoletano)社長は、社内でもバイタリティある社長として評判。「仕事への情熱は女性への愛情と同じ。この仕事は犠牲も多いが、情熱がないとやっていけない」と、イタリア男性らしく女性には優しいが、仕事への厳しさも持ち合わせている。
契約農家から仕入れたトマトは、世界の約50か国にトマト缶詰として輸出しており、最大の輸出先はアメリカ。世界的に有名なホテルやレストランなどにも卸している。日本にも「ソラニア」ブランドのトマト缶詰を輸出。神谷町や駒沢のピザレストランでも使われている。 イタリア産のトマト缶詰の品質には絶対的な自信を持っているジュゼッペ社長。「もしも500gのトマト缶詰を1ユーロで売っていたら絶対に買わないでほしい」と忠告。「日本はスマートフォンや着ているものは高いが、何故食べ物は安いものを求めるのか。少なくてもいいから、スーパーでもレストランでも品質の高いものを買う(食べる)べきだ」と苦言を呈する。
イタリア料理はリッチだがシンプルで生き生きした風味が有名。トマト缶は、この本物の味を届けるための重要な役割を担っている。数多くのパスタやピザには、トマト缶の大胆な風味が全体の味に深みを与え、料理に彩りや味覚、満足感をプラスしてくれる、イタリア料理にとって主役であり、名脇役でもある。 その基本は高品質材料が絶対条件。「コストを抑えるために中国産のトマトペーストを使う工場もあるが、イタリア産のトマトを使い、伝統的な加工でトマト缶詰を作ると、安くは売れない」とジュゼッペ社長。「高品質商品を適正価格で売ることが基本姿勢だ」と強調する。 現在の日本向け輸出量は年間約1200t。「日本の外食市場では引続きイタリアンレストランが増えており、トマト缶詰の輸出も大いに増えることを期待している」とし、今年も数社の日本のインポーターがソラニア工場を訪問している。