祝30周年!『パワフルプロ野球』伝説! 開発に携わった4人が語る、人を惹きつける魅力の源とは?
1994年3月、KONAMIから発売された『実況パワフルプロ野球'94』。2頭身のかわいいキャラクターに実名の選手と球団、リアルな球場、そして何より臨場感あふれる「実況」は野球ゲームの歴史を変えた。 【写真】『実況パワフルプロ野球』が生まれたきっかけとなった企画書 そんなゲームシリーズの濃厚な30年を、『パワプロ2024』メインプランナー・小野浦辰哉氏、プランナー・池本健二氏、シニアプランナー・豊原浩司氏、シニアプランナー・西川直樹氏の4人が振り返る! ■「実況」を冠する『パワプロ』誕生まで ――『パワフルプロ野球』(以下、『パワプロ』)シリーズ30周年おめでとうございます! KONAMIの野球ゲームの歴史は、1984年に発売された『コナミのベースボール』に始まりますが、94年に発売された『パワプロ』シリーズ第1作『実況パワフルプロ野球'94』へはどのようにつながっていくのでしょうか? 豊原 実はその間に『THEプロ野球激突ペナントレース』(以下、『激ペナ』)という野球ゲームが88年に発売されていました。私は続編となる『激ペナ2』(89年)のスタッフに選ばれたので、特にテンポと操作感の改良を意識しました。 初作では、1試合に30分ぐらいかかったのを、『激ペナ2』では15分ぐらいにテンポアップして、軽快に遊べるようになりました。また、球を打った際の感覚は力を入れて作りました。僕としてはこれが『パワプロ』の原点です。 その後、『生中継68』(91年)に続いていきます。この作品でミートカーソル(打者側が操作するバットを振る範囲)の概念ができたほか、野手のフォローやベースカバーなど『パワプロ』への道筋が感じられるかと思います。 ――『激ペナ』の頃から現在に至るまで、応援歌やチャンステーマといったサウンドにも並々ならぬこだわりを感じます。 豊原 おっしゃるとおりで、ゲーム内の音はすごく気にしていました。というのも、『激ペナ』のときからリアルの球場にいるような応援曲が鳴っていたんです。 これがほかの野球ゲームにはほとんど見られない特長で、そこから野球ゲームにおけるリアル路線ができたと言っても過言ではないと僕は思っています。それが「実況」を冠した『パワプロ』にも受け継がれているわけです。 ――そうした経緯を経て、シリーズ1作目で実在する球団と球場に加えて実況がそろい、当時のゲーム業界に大きなインパクトを与えました。 豊原 実在する球場と選手の扱いも注目されますが、もじった名前が主流だった80年代から、徐々に実名を使う野球ゲームも増えてきていたので、当然の流れだったと思います。 ただ、球場まで実名っていうのはなかなかなかったので、当時の開発リーダーが「全球場を実名でいこう」と言ったときには驚きました。