祝30周年!『パワフルプロ野球』伝説! 開発に携わった4人が語る、人を惹きつける魅力の源とは?
豊原 『パワプロ2』のときは、"記録"にこだわりたかったんです。それまでの野球ゲームって集計されたデータしか見てなかったんですよね。ホームランを何本打っただとか、打率、盗塁の数値とか。 でも、僕としては「何試合連続安打」とか「サヨナラホームランを打った」とか、そういうところがやっぱ野球の面白いところだと思っていたんです。それをゲームに取り入れたいと思い、「ペナント」モードを作ったんです。 ――特殊能力を設定する過程や、新特殊能力の考案、設計はどう決めているんですか? 西川 ゲームの仕様上、球種が少ない投手はどうしても弱くなってしまうんですけど、例えば佐々木主浩さん(元横浜など)のように、球種が少ないのに強い投手をゲーム内で再現しなくてはならないわけですよね。 そうなったときに「特殊能力として、相手の能力を下げる『威圧感』っていうのを入れたらええんちゃうか」って会議で決めていました。 イチロー(元マリナーズなど)に関しても、強すぎて「イチロー」って特殊能力をつけてましたから。内野安打が出やすい設定とか入れて。今ではそれが、「内野安打◯」(打ってからのスタートダッシュが速くなる)などになって残っています。 そういった、能力値だけでは表現できない選手を再現するために、特殊能力をつくるパターンが多いです。 豊原 チーム内でアイデアを募集してね。 池本 その年に目立った選手から持ってくることが多いですよね。ワンシーンでも印象深いプレーがあれば、そこから考えることもありました。 小野浦 最近でいえば「この人のストレートはシュート回転しているんじゃないか?」とか、「ちょっとスライダー方向に変化しているんじゃないか?」といった選手に「シュート回転」「真っスラ」って特殊能力を足しているので、その時代の選手に合わせて特殊能力を足している例が多いかなと思います。 西川 あとは「勝ち運」「負け運」ね。「なんでこんな勝つねん!」と「逆になんでこんなに負けんねん」って。 小野浦 ちょっとオカルト的な要素ですよね(笑)。 西川 これはちゃんとフォローしておきたいんですが、とある選手が「自分に『負け運』がついてる!」とショックを受けたって話を聞きましてね。でも、逆に言うと勲章なんですよね。強いのに勝ててない人につく能力なんで。僕らとしては「なんでこの人、こんな勝てないんや!?」という思いでつけているので。