「サカイ」と協働 伝統とモダンが交差する「バニー/ユージ」の日常に寄り添うエレガンス
ーー花瓶は質感が異なる2種類のラインアップですね。
ユージン:花瓶はハイポリッシュ仕上げとハンマリング仕上げ(鎚目打ち)の2種類です。それぞれ光のとらえ方や反射の仕方がまったく違うので、この2つの選択肢を用意したかったんです。
花瓶の材質と飾る花にフォーカスを当てるため、シンプルな形状にしたいと考えていました。シルバーは光を反射し、イメージを変化させるのに効果的です。開口部のスリットは一輪の花でも固定でき、内側のゴールドプレートに反射した光がそのスリットから溢れるようになっています。
金色の内部が上部だけ露出しスリットから外に溢れ出すさまは、内面の美しさが表に溢れ出てくることを表しているとも言えるし、季節に開く花の姿そのものとも言えます。
花瓶やジュエリーに込められた願い
「もの」と「人々の想い」の継承
ーー「長く愛されるもの」がデザインテーマのひとつです。ものを残し、受け継ぐことについて、考えを聞かせてください。
アンドリュー:ジュエリーとファッションでは、それぞれに違った意味があるでしょう。初めて買った靴やジーンズなど、私たちはファッションに強い愛着や意味を見出すことがあります。人生の時を刻むもの、と言ってもいいかもしれない。ジュエリーは少し違って、結婚式や出産などの特別な機会に贈られ、何世代にもわたって受け継がれていくもの。何十年も生き続けるものだからこそ、適切な素材と技術を用いる必要があります。
貴金属でこれほど大きい花瓶を作るのはとても珍しい。願わくば末永く使ってもらえるように、という思いを込めています。贈られた人にとっても、買った人にとっても、宝物になるように、と。
ーーユージンさんはいかがですか?
ユージン:過去に手がけたすべてのプロジェクトにおいて、目標は常に「長持ちするものを作る」こと。ただテクノロジーを扱う場合、ソフトウェアのようなパーツは急速に進化し、本来は10年以上使える品質だとしても、実際に継続して使われるかどうかはトレンドや仕様に左右されます。残念ですが、それはインダストリアル・デザインの宿命です。