「サカイ」と協働 伝統とモダンが交差する「バニー/ユージ」の日常に寄り添うエレガンス
また以前から、一輪の花でも生け方次第で空間を際立たせられる「生け花」に興味があったので、一輪挿としても使える花瓶を考えました。そんな時、個人のプロジェクトでコラボレーションをしていたアンドリューに相談したんです。彼の銀細工の世界や、伝統的なものづくりの手法を用いたアプローチに興味がありました。
ーー「サカイ」とのコラボレーションはどういった経緯で?
ユージン: 2人にとって長年の友人の「サカイ」(阿部千登勢デザイナー)に相談を持ちかけたのがきっかけです。今回のコレクションは花瓶、ブローチ、アパレルの3つの軸があり、私たちは花器とブローチをデザインしました。「サカイ」からは、フラワーショップのユニフォームを現代風にアレンジしたコートをはじめ、アパレルアイテムを提案してもらいました。
ブローチは花瓶と衣服の架け橋のような存在です。また花瓶やブローチに手が届かない人でも、同じ製法で作ったシルバーが付属するアパレルアイテムは楽しめるかもしれない。だからこそアパレルとブローチは花瓶の延長線上にあり、「サカイ」とのコラボレーションだからこそ生まれたものです。
ーー花瓶や、モチーフとなったチューリップにまつわる個人的な思いやエピソードはありますか?
アンドリュー・バニー(以下、アンドリュー):コラボレーションが決まってから、まずどんな花をアレンジすると魅力的に映えるのかを考えたんです。
リサーチするうちに、「チューリップマニア」という17世紀のオランダでの社会現象に興味を抱きました。希少なチューリップへの人々の熱が高まり、球根の価格が極度に高騰、1本につき現在の100万ドルに相当する価格で取引されるまでになった現象です。この象徴的な出来事に着想し、チューリップをモチーフに選びました。そして花瓶、ブローチ、アパレルという3軸に統一感を与えるために、チューリップモチーフの美しいエンブレムをデザインしました。