「筋肉の向き」を考えずにストレッチしてはいけない…間違った知識では体が硬くなる
「ストレッチをやりすぎると、逆に体が硬くなる」
そもそもストレッチには「静的ストレッチ」と「動的ストレッチ」があり、メリットとデメリットはそれぞれ異なります。 「静的ストレッチ」は筋肉を伸ばしすぎて、その後の運動のパフォーマンスを下げてしまいます。クールダウンとしても、筋肉を伸ばすので余計に傷めかねません。実際私は「ストレッチをやりすぎて筋肉を傷め、逆にその周辺が硬くなってしまっている人」をたくさん診てきました。 一方「動的ストレッチ」は可動域を広げるメリットも大きいですが、うまくできていない人がほとんどです。 つまり静的ストレッチのように「ぐいぐい伸ばし」てもダメ、動的ストレッチのように「ブンブンやる」のも難しいのです。 また、静的にせよ動的にせよ、ストレッチは筋線維に沿って、タテ(水平方向)にそれを伸ばすことを目指します。 たしかに、筋肉を伸ばすと気持ちがいいものです。ですがやりすぎると、短期的に見て筋肉が緊張しやすくなり前より硬くなってしまいます。また長期的に見ると、筋肉が必要以上にゆるんで関節に負担がかかりやすくなってしまう。どちらも怪我のリスクが高まり、想像したゴールとは違う結果に結びつくことがとても多い。フォームだけではなく、行う塩梅も非常に難しく、デリケートなものなのです。
「もみ返し」は筋繊維の損傷
そもそも筋肉とは「筋線維束(きんせんいそく)」という細長い「筋線維」(筋細胞)が多く集まった束から構成されています。 また「筋線維」の中には、それよりも細い「筋原線維(きんげんせんい)」がみっしり詰まっています。 注目してほしいのは、この「筋原線維」。直径約1マイクロメートルという極細の器官です。 線維と聞くと「糸?」と思いがちですが、なんと収縮する器官なのです。筋原線維の大事なところは2種類の紐みたいなもの「筋フィラメント」からできています。もちろんそれは「マイクロメートル」とか「ナノメートル」など、気が遠くなるような単位で表現される世界です。 そのような筋原線維が大量に集まって同時に動くと、莫大な力が発揮されます。しかしそれらをヨコ方向に切るような動きでマッサージすると、あっという間に損傷してしまいかねません。 もし、マッサージを受けた直後に「もみ返し」が起こったとしたら。それは筋原線維がぶった切られた可能性が高いです。 ではいったいどうすれば疲労が取れるのでしょうか? 後編記事『 筋肉をほぐすのに最も効果的な方法…椅子に座ったまま10秒で股関節や太ももの張りを簡単に落とす! 』で解説します。
庄島 義博(BODY PREPARATION 開発者)