「筋肉の向き」を考えずにストレッチしてはいけない…間違った知識では体が硬くなる
運動後のストレッチ。体のケアをしているつもりなのに、実は逆効果になっているかもしれません。 【写真】快適な睡眠は「ふくらはぎ」が決める…! 業界の超一流から、一般人にいたるまであらゆる世代のコンディショニングを支えてきたトレーナーによるストレッチよりも気持ちいいセルフケアメソッドを解説した『朝起きてすぐに動きたくなる体』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けします。
「なぜ、この練習は必要なのですか」
「すごく効く」と噂のストレッチやエクササイズが流行っているとします。 しっかりストレッチすればその瞬間は気持ちよくて、肩こりや腰痛が治った気になるかもしれません。でも美容師さんやショップ店員さん、学校の先生など「1日中立ち仕事をしている人」の腰痛と、「1日のうち半分は座ることができる職業の人」の腰痛とでは、原因もセルフケアの方法もまったく異なります。だから同じストレッチで解決するとは限りません。そのストレッチをやらなくなって数日すれば、痛みはまたぶり返すはず。 いったいなぜ、このように「自分に合うかどうかわからないもの」を思考停止で取り入れてしまうのか。その原因は日本人特有の「素直さ」にあるのかもしれません。 私の生徒のFさんが少年サッカーのコーチをしています。 Fさんによると、スペインではたとえ子どもであっても「なぜ、この練習が必要なのか」理由がわからないとやらないそうです。幼い頃から、運動の目的と結果が「自分に相応しいのか」を考えるクセが身についているということです。 素直さ(従順さ)が国民性であるのなら、それは仕方がありません。でも個人レベルで、今日からでも意識的に「疑って」、認知のズレを修正し、より良い常態をつくるのが望ましいです。 そうなっていくための体系的なメソッドを私は「ボディプリパレーション」と名づけて広めています。「プリパレーション」を英語で書くと「preparation」。準備、用意、支度、計画などの意味があり、医療の現場でよく使われる言葉です。病院で受ける治療や検査、処置などについてのメンタル面も含めた「準備」を指します。 そして、世間に広まっている最大の認知バイアス問題、つまり「カラダ認知のズレ」の本質として、筋肉は「タテに伸ばす」よりも、「ヨコに揺らす」ほうが疲れが取れやすい、という事実があります。