五十肩の人のNG動作とは? マッサージに効果は? 痛みを緩和する方法も医師が解説
痛みを緩和する方法は?
編集部:五十肩の痛みはどのようにして緩和することができるのですか? 白澤先生:まず、痛みを強く生じる急性期早期には患部を冷やすこと、慢性期・回復期には患部を温めることで症状の改善が期待できます。 特に慢性期・回復期は温めることで肩周りの血流が改善し、筋肉の柔軟性が回復するので、入浴したり、運動したりして温めることが必要です。 編集部:そのほか、どんなことが有効ですか? 白澤先生:痛みの改善に有効なのはストレッチです。特に急性期は、痛みの出ない範囲で肩甲骨周りをほぐすストレッチが効果的。急性期が落ち着いたら慢性期・回復期以降は肩の可動域を広げる運動を行うと良いでしょう。 編集部:医療機関ではどのような治療が受けられますか? 白澤先生:運動療法が基本となりますが、近年では新しい治療法として、サイレントマニピュレーション(非観血的関節受動術)も行われています。 これは、肩に麻酔を行った状態で医師が肩関節を動かすことにより、関節の可動域を回復させ、肩の動きを改善する治療法です。 これを行うことで、従来あまり治療効果が見られなかった症例でも劇的に症状の改善が見られることが増えています。ほかに、内視鏡を使用した手術で硬くなった関節包を切除することでダメージを少なく可動域の改善を得る方法もあります。 編集部:そのほか、日常生活で意識することはありますか? 白澤先生:猫背や巻き肩など、悪い姿勢は五十肩を悪化させることがあります。特に背中が丸くなると肩甲骨や胸周りの筋肉が硬くなり、肩甲骨の可動域が狭くなって痛みにつながるリスクがあります。 主にデスクワークをするときなどは姿勢に気をつけ、肩関節を柔軟にしておくことが必要です。 編集部:最後に、読者へのメッセージがあれば。 白澤先生:五十肩は非常に一般的な疾患ですが、実際には五十肩ではなく腱板断裂だったというケースは非常に多く見受けられます。 腱板断裂の場合、放置すると断裂が悪化していくため、自己診断で五十肩と判断せず、1週間程度肩の痛みが続いたら早めに医療機関を受診しましょう。五十肩は通常片側に起こりますが、やがてもう片方の肩に症状が見られることがあります。 しかし、早期に医療が介入させておけば、もう片方の発症を予防できるかもしれません。肩に違和感や痛みを覚えたら、できるだけ早めに医師の診察を受けてみてはいかがでしょうか。