Amazonでクルマがポチれる。まずは米国48都市で
この炭酸水を買うなら、Hyundai IONIQ 5 Nもどうぞ、なんて言われる日が来る? Amazonが米国で自動車販売を始めました。Amazonのサイト上でクルマを見て購入手続きをして、ローンを組んだり、古いクルマを下取りに出したりもできるようになっています。さしあたり展開地域は米国48都市、メーカーはHyundai(ヒョンデ)限定ですが、Amazonは今後もっと拡大したいとしています。
購入手続き、下取り査定もAmazonで
Amazon Autos(現在はβ)のWebサイト上では、一般的なカーディーラーのサイトみたいに車種やモデル、オプション、色、機能などで絞り込んでクルマを選べます。購入手続きもオンラインででき、買ったらHyundaiのディーラーにピックアップしに行きます。 今持っている車の下取り価格も「独立のサードパーティ」により査定され、新車代金と相殺されます。普通のディーラーで車を買うときのように、ローンを組むこともできます。 ちなみに現在の展開地域は、ニューヨークやロサンゼルス、シカゴといった巨大都市から、ユタ州ソルトレイクシティやコネチカット州ハートフォードといった、日本で言えば「政令指定都市」くらいの規模のエリアまで、48都市圏です。Amazonは来年以降、他の地域にも拡大すると言ってます。 またメーカーも、とりあえずHyundaiと組んでいますが、今後は他のメーカーにも広げたいと言ってます。今のところ買えるのは新車のみで、中古車に関してはAmazonは何も言ってませんが、可能性はあるんじゃないでしょうか。
AmazonとHyundaiそれぞれにメリット
AmazonとHyundaiディーラーのパートナーシップは、双方にとってわかりやすい魅力があります。Hyundaiディーラーにとっては、Amazonを通じて広範囲な人にリーチできつつ、自前のオンラインプラットフォームを持たずにビジネスができるメリットがあります。 それに、カーディーラーのWebサイトってだいたいイマイチです。今、多くの人がクルマの購入手続きをオンラインでしたいと考えるようになっていて、CarGurusの調査によれば、69%の人が購入プロセスのより多くの部分を自宅でしたいと考えています。でも多くのカーディーラーのWebサイトは、使い勝手が悪い事が多く、ある調査によれば、ほとんどのサイトは基本的なWebサイトとしての要件を満たしていません。さらにShiftDigitalの調査によれば、多くのディーラーサイトでは、買う気をなくすような文言や動線が使われがちです。 一方Amazonはこのパートナーシップのおかげで、自前の自動車倉庫や配送網を構築せずに自動車市場に参入できました。ただAmazon Autosのヘルプページによれば、このサービスの最終販売者はAmazonでなくディーラーであり、Amazonはマーケットプレイスという位置づけのようです。それでも、自動車ローンや保険も含め、今までAmazonが入り込めていなかった新市場開拓であることに変わりありません。 AmazonとHyundaiのパートナーシップ自体は1年前に発表されていましたが、自動車販売の複雑さのためか、さすがのAmazonもローンチは慎重に進めてきました。やっと立ち上がった今、使い慣れたAmazonがクルマ選びのインターフェースになることで、新車購入がもっとスッキリするんでしょうか? それともAmazonで炭酸水か何かを買っただけで「ウィルキンソンを買った人はHyundai IONIQ 5 Nも買っています」なんてお勧めされるようになるんでしょうか?
福田ミホ