「40代で人生に停滞」と悩む男に精神科医・名越がアドバイス。大事なのは“人生の師匠”と出会うこと
どんなに順風満帆な人生でも、停滞期はある。 ▶︎すべての写真を見る
今回、精神科医の名越康文さんのもとに寄せられたのは、そんな人生の停滞を感じている男性からのお悩みだ。
【Question #06】人生の停滞期に悩んでいます
20代、30代は仕事も家庭もがむしゃらに頑張ってきました。大きな挫折を味わうこともなく、人生の基盤も築けたかなと感じています。ですが、将来がある程度見えたせいか、最近人生の限界を感じてしまうのです。どんなに頑張っても、「こんなものだろう」と諦めの気持ちもあります。理由もない人生の停滞感を解消するには、どうしたらよいのでしょうか?(45歳・鳥取県)
【Answer】自分の目標となる「人生の師匠」を見つけましょう
20代、30代に仕事も家庭も両方がむしゃらに頑張れる男性が、どれだけおられるでしょう。心から敬服します。 オーバーヒートになっていないかは、心配になります。 というのも現代において、社会生活をつつがなく完璧に送っている人は、私のような立場の人間からいうと「過剰適応」といって、かなり無理をしている、ストレスを抱え込んでいる方が多いからです。 つまりこの社会に完璧に適応している人は、すでに自身の心身をそうとう削っている。 なぜならば、近代人は「今はまだ足りない、そしていつ奪われるかもしれない」という、いわば欠乏の不安にいつも苛まれているからです。 この方が「自分の人生の限界を感じる」とおっしゃっている背景には、この「過剰適応」による心身の消耗がすでに進行しているのではないか、と心配になります。 ではこのような方が、前を向くためにはどうすればよいのか。 いちばんおすすめなのは、これから先、自分はこうなりたいと思える「人生のモデル」を見つけることです。
仕事との向き合い方や、趣味との付き合い方、人生全体の捉え方からちょっとした仕草まで、あなたを小さく唸らせてくれるセンスの光る先輩はいないでしょうか。 もし見つかったら、なるべくその人の傍らにいて生き様を学ぶのです。 もしも周りにいなかったら、小説の中でも映画の中でもかまいません。物語の中に、「自分もこんな人生を歩みたい」「この人のような粋な振る舞いをしてみたい」と思える人を見つけましょう。 そういうモデルに出会えると、自分の未来に向かってやるべきことが見えてくるものです。 「この人のようになりたい」という思いから、いろいろな欲が出て自然に積極性が増してきます。その人をお手本にすればよいのですから、何より生き方が楽になります。