BMW Z4 詳細データテスト 希少なMTで味わえる柔軟なエンジン 直感的でない可変ステアリング
結論 ★★★★★★★★☆☆
BMW Z4のMT車が、コスト計算をすり抜けて登場したことは、われわれに驚きと喜びをもたらした。しかも、英国仕様は右ハンドル。それが、Z4のライフサイクル後半で追加されたのである。 ほとんどのユーザーは、従来から設定されているAT車を今後も選ぶだろう。しかし、秀逸な3.0L直6にMTの組み合わせを経験すれば、新たな運転の楽しみが見えてくるはずだ。Z4 M40iウィズ・ハントシャルターパックは、ここしばらくなかったクラシックなBMWのロードスターのように感じられる。今後も、めったにこういうクルマは登場しないだろう。インテリアのレイアウトも、うれしくなるくらいトラディッショナルだ。 パフォーマンスと没頭ぶりは、真のスポーツカーだと思わせてくれるものがある。しかし、直観的でないステアリングと安定志向のシャシーセッティングにより、718ボクスターGTS4.0と真に張り合えるライバルとなっていない。 その代わり、違う魅力を備えている。より安価で快適な上、そこそこのペースですばらしいエンジンを楽しむならこちらのほうがいい。シンプルで一体感を味わえるクルマが減っている中、こうした選択肢があるのはいいことだ。 ■担当テスターのアドバイス ◆イリヤ・バプラート この数年、BMWの新型車を多数走らせてきて、最新のユーザーインターフェイスとようやく折り合いをつけ、使い方に慣れてきた。が、今回Z4に乗って、妥協してはいけないと思った。旧式レイアウトのほうが、すべてにおいてよくできているのだから。 ◆リチャード・レーン Z4のハントシャルターパックは、BMWのピークと言えるだろうか。最高の直6にMTを組み合わせた後輪駆動車で、十分よくできたシャシーと、比較的控えめなスタイリングを備える。そう評して差し支えないだろう。 ■オプション追加のアドバイス カラーバリエーションは、今のところ選択の余地がない。マットグリーン外装にブラウン内装という上品な組み合わせなのが、せめてもの救いか。オプションは、キーレスエントリーとステアリングヒーターを含むコンフォートパックをおすすめする。 ■改善してほしいポイント ・ステアリングラックは可変レシオではないタイプにしてほしい。 ・前後のホイールとタイヤは同サイズにしたほうが、後輪駆動らしい麗しきバランスを楽しめるはずだ。 ・ハントシャルターパック装着車に、もっと広いスペックの選択幅を用意してもらいたい。
リチャード・レーン(執筆) イリヤ・バプラート(執筆) ジャック・ハリソン(撮影) 関耕一郎(翻訳)