会話は問題ないけれど、文字は読めない!? 「読む」ことができない学習障害の子に起きていること
「どうして読めないんだろう?」「なんで書けないんだろう?」と、悩んでいる子はたくさんいます。学習障害(LD)とは、発達障害の一つです。読み書 【続き】「黒板の文字が書き写せない」“読み書き”に必要な能力とは きや算数といった、学習の特定の分野で困りごとが起こります。 LDの特性による困りごとは、アプローチのしかたで減らすことができます。勉強がうまくいかないのは、その方法が合っていないからです。つまり、自分自身に合った方法がわかれば、その子の学習・生活面の困りごとはずいぶんと減ります。イラスト図解で基礎からわかるLD入門書『学習障害(LD)がわかる本 気づいて、支えるために』より、連載形式で基礎知識や、困りごとに合わせた工夫を紹介します。 今回は、「読む」の困りごととその背景について解説。
教科書の文章をスムーズに音読できない
学習障害(LD)のある子のなかには、ふだんの会話は問題ないけれど、「文字を読もう」とするとスムーズに読めない子がいます。 漢字がわからないということではありません。ひらがなであってもスムーズに読むことができない場合もあります。カタカナで特に苦労する子もいます。 読むことが苦手な子は、促音や拗音などの特殊音節の読みでつまずくことが目立ちます。また、文章を一文字ずつ読んだり、行飛ばしで読んだりと、たどたどしさがあらわれます。 練習をしても、なかなかスムーズに読めるようになりません。 ■促音や拗音の読みでつまずきやすい 読むのが苦手な子どもがよくつまずくのが、「っ(促音)」や「きゃ、きゅ、きょ(拗音)」、「―(長音)」といった特殊音節です。読み違えたり、読めないことがあります。
読むプロセスにつまずきがある
本だけでなく、宣伝広告やスマートフォンのニュースなど、私たちの周りには言葉(文字)があふれています。これらを「読む」ためには、脳内でいくつかのプロセスを経る必要があります。 文字をとらえ、言葉(単語)として認識するまでがいわゆる「読字(読む)」で、文章としてわかり、その概念を理解するのが「読解」と呼ばれるものです。 LDがある場合、一連の読むプロセスのどこかでつまずきがあります。これには「音韻認識」「デコーディング」「デコーディングの自動化」と3つの要因があるとされています。