会話は問題ないけれど、文字は読めない!? 「読む」ことができない学習障害の子に起きていること
聞いた言葉を音に変換するのが難しい
読みのプロセスを困難にする大きな要因の一つが「音韻処理」です。言葉は複数の「音」の集まりです。 言葉を聞いたとき、私たちは言葉を構成する音を分割して、対応する文字を学習することができます。 LDの場合、この音韻認識が弱いために、読みが困難になっていることがあります。音の要素がわからないということは、それに対応する文字を見つけることができないということだからです。結果、「読み」の学習がなかなか進まなくなります。
文字を音にする「デコーディング」が弱い
「読む」プロセスに深く関わっているものに「デコーディング」があります。 デコーディングは、簡単にいうと、目で見た文字を音に変換する力のことをいいます。 言葉は複数の「音」の集まりです。つまり、書かれた文字は、もともと音であった言葉を、私たちが目で見て認識できるように「記号」としてあらわしたものです。この記号を、もともとの音の形に戻すのがデコーディングです。読むことに慣れると、無意識におこなわれるようになります(自動化)。 これらがうまくはたらいていないと、「文章を読む」というのは、さながら暗号解読のようなもの。 一つひとつ文字を解読していくことになり、スムーズに進みません。このような読みづらさの根本的な原因をなくすことはできませんが、工夫で負担は軽減できます。 続きは<「黒板の文字が書き写せない」「漢字のへんやつくりが分からない」子どもたち。“読み書き”に必要な能力とは>で公開中!
高橋 知音(信州大学学術研究院(教育学系)教授)