「誰もがクリエイターになる日」アドビが仕掛ける生成AI革命
アドビといえば「Photoshop」などのクリエイティブツールの会社、というイメージが強いため、「ビジネスパーソンには縁遠い」「自分には関係ない」と思っている方もいそうだ。 【写真で見る】平面で描かれたイラストを好きな方向に向かせることができる(もちろん、生成AIが用いられている) だが、同社はそう考えてはいない。 アドビの業績拡大には、いわゆるクリエイター・デザイナーとより密接な関係を築くことと同時に、それらの職種でない人々との接点を増やすことが重要という発想を持っているからだ。 そして、そのために重要なテクノロジーとなるのが「生成AI」である。
現在アドビがどのような方向性で生成AIとクリエイティビティツールを拡散させようとしているのか。それを解説してみたい。 ■生成AIで動画を「拡張」する技術も Adobe MAXでは毎回、アドビがクリエイティブツール向けに導入する新技術が公開される。その中でも今年特に話題だったのは、「動画の生成拡張」と「画像のワンタッチ修正」だ。 ショッピングモールで撮影した、一見普通の動画。しかし、実際は、動画の最後と最初で、それぞれ2秒間、映像を「拡張生成」している。
これはアドビの動画編集ツール「Premiere Pro」に搭載される機能で、筆者が実際にPremiere Proで作ったみたものだ。拡張生成を選んで、動画を「伸ばす」だけで、誰でも簡単にできる。 次に「ワイヤー消し」。以下の2枚の写真は、新しい「Photoshop」の機能を使ったものだ。片方には大量の電線が写っているが、もう片方の写真には存在しない。Photoshopを使って消しているのだ。だが、複雑な作業は不要。文字通り「ワンクリック」で電線が全て消える。
もう1つは「Sneaks」という未来向けの技術をチラ見せするイベントで公開されたもの。製品への投入は未定だが、ユニークでインパクトの強い技術が多い。なかでも喝采を集めていたのが「Project Turntable」。ある方向で描かれた平面のイラストを、そのままぐるり回し、別の方向から見られるようにしてしまうものだ。普通なら「望む方向からの絵を描きなおす」ことになるのだが、Project Turntableだと、好きな方向へ回す操作をするだけで望みの絵ができてしまう。