「幼少期から憧れていたので狙っていきたい」巨人ドラ3・荒巻の野望 09年阿部以来の快挙に照準ピタリ
巨人のドラフト3位・荒巻悠内野手(21)=上武大=が19日、左打者で令和初の「ビッグボードホームラン賞」獲得に意欲を示した。東京ドームホテルで契約金6000万円、年俸1000万円(金額はいずれも推定)で仮契約。背番号は「60」に決まった。パワーと飛距離が武器のスラッガー候補は「狙っていきたい」と、生え抜きの左打者では2009年の阿部慎之助以来となる東京D看板直撃弾に照準を定めた。 オレンジに染まる東京Dの右翼スタンド。荒巻はその上を越える、どでかい放物線をイメージした。窓から本拠地を望むホテルの一室で「幼少期から憧れていたので、阿部さんの次っていうのは狙っていきたい」とビッグな目標を掲げた。阿部監督が現役時代に右翼席最上部「ヘーベルハウス」の広告ボードに当てたのが09年9月。生え抜き左打者では16年ぶりとなるスラッガーの勲章に狙いを定めた。 指揮官とは相思相愛だった。184センチ、92キロの体格を誇り、リーグ戦では推定140メートル弾も放った飛ばし屋。阿部監督はドラフト直前、荒巻の映像に何度も目を通した上で「ぜひ欲しい」とスカウト陣に要望していた。1位から石塚(花咲徳栄)、2位で浦田(九産大)と内野手が続いた中でも、内野手の荒巻を3位指名した。 荒巻も「慎之助塾」を熱望した。阿部監督が現役時代、バント練習用のスペースで行っていた「ファウル打ち」の動画を繰り返し、目に焼きつけている。反対方向へこするように打球を飛ばすトレーニング。球を手元まで呼び込み、右肩の開きを修正する練習法だ。「好球必打の考え方や捕手心理、より野球のことを深く学びたい」。豪快なアーチの土台となる技術や配球の読みを貪欲に吸収する。 長距離砲にふさわしい背番号も用意された。60番は通算567発の門田博光や3冠王3度の落合博満、現役最多478本塁打の中村剛也ら多くのアーチストが背負ってきた。「本当にいい背番号をもらったなと。60番に恥じないように。『巨人の60は荒巻』と覚えてもらえたら」と気を引き締めた。 プレミア12に出場中の中日・高橋宏やオリックス・山下と同世代で対戦を心待ちにする。今春の大学選手権でもプレーした東京Dでのプレーに、「ここでずっと試合ができるのは1軍の特権。早く1軍に入って、ずっとこの球場で試合をできたら」と目を輝かせた。ロマンたっぷりのパワーヒッターが、巨人の看板打者を目指していく。(内田 拓希) ◆ドラ3に聞く ―仮契約で球団からかけられた言葉は。 「思いきりのいいスイングが魅力と言ってもらえたので、自分のスタイルを崩さずプレーしたい。やっとスタートラインに立てたので、これから自分の名前が東京Dに響き渡るように、精進したいです」 ―巨人で話したい選手は。 「球界を代表するスラッガーなので、岡本選手にはバッティングのいろいろなことを聞きたいです」 ―「やられたらやり返す」が座右の銘。プロでやり返したい相手は。 「(祐誠)高校2年夏の大会で(福岡大大濠)山下舜平大投手と対戦した。そのときはチームが負けたので、今度は勝てたら」 ―趣味は。 「サウナが好きですね。限界まで入った後の水風呂、外気浴は疲れが飛ぶので。いつも試合後や、オフの日に行ってます」 ―忍耐力は上武大の厳しい練習で培ったか。 「忍耐力はあると思いますし、プロの世界に入ってものまれない自信がある。その長所を生かして厳しい世界で戦っていきたいです」 ◆荒巻 悠(あらまき・ゆう)2002年12月23日、福岡・久留米市生まれ。21歳。祐誠(福岡)では1年夏からレギュラーで、高校通算37本塁打。上武大では1年春のリーグ戦から出場し、公式戦の本塁打は計10本。守備位置は一塁、二塁、三塁。遠投110メートル、50メートル6秒2。184センチ、92キロ。右投左打。
報知新聞社