新人王を獲得した異色のビーバップボクサー
ボクシングの全日本新人王決定戦が21日、後楽園ホールで12階級行われ、フライ級ではパンチパーマと剃り込みがトレードマークの異色ボクサー、山下賢哉(18歳、古口ジム)が小坂駿(真正)に判定勝利で新人王に輝いた。 山下は、1980年代に爆発的な人気を誇ったヤンキー漫画「ビーバップハイスクール」の登場人物にソックリ。まさに劇画から飛び出たきたような風貌で、山下曰く、登場人物の一人、「菊りん」こと菊永淳一をイメージしているとか。昔の悪仲間の紹介で、パンチマークのできる床屋を探して3日前に6000円也で、剃り込みとパンチパークをあててきた。「かなり剃りを入れないとおでこ狭いんで(笑)」。尊敬するジムの先輩の東洋太平洋Sバンタム級王者、和気慎吾がリーゼントを売りにしているので「僕はパンチパーマを売りにしていきたい」と、この異色スタイルを貫いている。 「MVPを狙って、ついつい、大振りになってしまった」と、1ラウンドは、一発狙いの大振りのフックの空回りが目立った。だが、1ラウンド終了後、セコンドについて先輩の和気が「小さく当てていけ」とアドバイス。2ラウンドは、まだKOの色気が抜けきれず、大振りしていたが、3ラウンドからは、ショートの小さなパンチをまとめて、ペースをつかんだ。 「和気さんのアドバイスで、小さく切り替えました。そうなると、倒すのは難しかったが、コツコツと当てていきました。倒してMVPをとるためには、1ラウンドか最終ラウンド。最後も、小さなパンチを積み重ねれば倒すこともできると思って倒しにいったんですが、駄目でしたね」 一発狙いの荒いフックパンチャーかと思ったが、しっかりと、ジャブからショートコンビネーション中心のボクシングにも切り替えができるところは只者ではない。結局、9戦全勝の西軍の王者を圧倒。MVP獲得はならなかったが、大差の判定勝利で念願の新人王を獲得した。