来日40周年<コアラ>絶滅危惧種、意外な6つの生態「繊細でグルメ、歯が黒い?」【全国おすすめスポット7選】
日本に初めてコアラがやってきたのは1984年10月25日のこと。来日40周年を迎えた現在、コアラは全国7か所の動物園で54頭(※)が飼育され、その愛らしい姿はすっかりおなじみとなったが、意外と知らないことも多いのでは?そこで、各園の飼育員に自慢のコアラについて根掘り葉掘り聞いてみた。この秋、あなたはどの子に会いに行く? 【画像】華麗にジャンプする姿や不思議な前歯ほか、全国のキュートなコアラを写真でチェック! (※1)頭数は各動物園の情報をもとに編集部で算出(2024年10月25日時点)。
コアラはいま絶滅危惧種に
コアラはオーストラリア東部にのみ生息する有袋類(ゆうたいるい)の固有種(※2)。1984年にオーストラリアと日本の友好の象徴として、東京の多摩動物公園、愛知の東山動植物園、鹿児島の平川動物公園の3園にそれぞれ2頭ずつが贈られ、国内飼育が始まった。 その後、日本でもすっかりおなじみの人気動物となったが、オーストラリアにある生息地の森が2019~2020年の山火事や気候変動による干ばつ、森林破壊によって50%以上消失。これにより個体数が激減し、2022年にはオーストラリア政府が自国のレッドリストで「絶滅危惧種」と評価した。 このままでは近い将来、その姿が見られなくなる可能性もあるため、日本でも繁殖活動に力を入れている。1986年に国内初の繁殖に成功した東山動植物園では今年度、2頭を目標に繁殖を行うなど、コアラを飼育している7つの動物園では協力して繁殖活動を進めているが、飼育には課題が多いと、東山動植物園のコアラ飼育員・伊東英樹さんは言う。 「苦労しているのがエサであるユーカリの確保です。コアラはユーカリしか食べないのですが、どんなユーカリでも食べるわけではなく、嗜好があります。天候の影響などで充分な量が確保できず、いつもと違うユーカリを出すと、ほとんど食べてもらえないことも。 また、コアラに内在しているコアラレトロウイルスには、老化やストレスなどをきっかけに白血病やリンパ腫などの病気を引き起こす発がん性があり、がんを発症すると高確率で死んでしまいます。ですから、いかにストレスをかけないかが飼育する上では大切です」(伊東さん) コアラは、グルメで繊細なのだ。見学するときは大きな音やカメラのフラッシュなどに注意したい。 (※2)有袋類とは、腹部にある袋状の器官・育児嚢(いくじのう)で子供を育てる動物のこと。固有種とは、特定の地域や国にのみ生息している生物種を指す。