チーム体制変更の大坂なおみは全仏、全英で勝てるのか?
「私は常に、自分は“オールコート・プレーヤー”になれると思ってきた」 これは全豪オープンを制した後に、大坂なおみが言った言葉だ。ここでいう「オールコート」とは、“ハード”“クレー”そして“グラス(天然芝)”という、テニスコートの種類を指している。 彼女が制した全豪オープン及び全米オープンは、現在最も普及しているハードコート。そして“グランドスラム”と呼ばれる4大大会のうち、残る5月末からの全仏オープンはクレー、そして7月初旬のウィンブルドンはグラスコート。つまりは、「オールコート・プレーヤー」を標榜する彼女の真意は、全仏とウィンブルドンへの渇望にある。 ハードコートが主戦場の北米で育った大坂には、クレーや芝でテニスをする機会からして、そもそも存在しなかった。 今から3年前、18歳にして初めてヨーロッパのクレーコートシーズンに向かう時の大坂は、「クレーは大丈夫」と自信を口にしていた。 フロリダには“グリーンクレー”と呼ばれるコートが多くあり、大坂にはそこでのプレーの経験があったからだ。だが欧州のクレーコートは、砕いたレンガの粉を用いた“赤土”。ボールのバウンドから足元の感覚まで全てが異なる赤土に立った時、大坂は「全然違う! やっぱりハードコートがいい!」と心の内で叫び声を上げたほどだった。 それでも初出場の全仏オープンで、大坂はいきなり3回戦へと勝ち上がる。一昨年は初戦で破れたものの、昨年は再び3回戦へ。他のクレーコートより全仏での方が好結果を残せている理由を、大坂は「大きな舞台が好き」であることに加え、「全仏の赤土は他の大会よりも速く、サーブの優位性が高い」ことにも求めていた。 天然芝の上で初めてボールを打ったのは、17歳の時のこと。この芝に関して大坂は、プレーする前から「きっと自分に向いている」との期待感を抱いていた。バウンド後の球足が速い芝のコートは一般的に、サーブの良い選手に有利。それもあり、周囲の人々からも「君のプレーは、芝向きだ」と言われていたという。 果たして2年前に初出場したウィンブルドンで、大坂はいきなり3回戦に進出。その3回戦では、5度のウィンブルドン優勝を誇るビーナス・ウィリアムズと好試合を演じるなど、予感の正しさを結果で証明した。 それら過去2~3年の経験を踏まえたうえで大坂は、全仏およびウィンブルドンを制するために必要なのは、「メンタリティの変化」だと言った。