世帯数減で「一家に一台」車やテレビ消費ブレーキ 4.1兆円の消費減、訪日客頼み加速
人手不足に直結する人口減少が社会問題化する中、人口減少から遅れて始まる世帯数の減少がさらに景気に悪影響を及ぼすとの研究結果をりそな総合研究所が発表した。世帯数の減少は住宅や、「一家に一台」といわれる自動車やテレビ、冷蔵庫など大型家電の消費にマイナスの影響が見込まれ、関西では1・2兆円の消費減につながると試算する。これを補うものとしてはインバウンド(訪日客)の消費に頼るしかない状況だ。 ■人口減から遅れて落ち込み 日本の人口は2009年の1億2707万人をピークに15年連続で減少。総務省が今年4月に公表した昨年10月1日時点の人口推計では、外国人を含む総人口は1億2435万2千人、日本人は前年同月比83万7千人減の1億2119万3千人で、比較可能な1950年以降で過去最大の落ち込みだった。 一方、世帯数の減少は人口減から遅れて始まる。国立社会保障・人口問題研究所の予測では、日本全体の本格的な減少は2030年以降だが、南関東を除く地域では20年をピークに減少が始まっている。40年までに現在の約5400万世帯から8%強減る見込みだ。 人口と世帯数の減少にタイムラグが生じる理由について、りそな総研の荒木秀之主席研究員は「日本の人口減少は主に少子高齢化によるものだが、子供の数が減っても世帯数がすぐに減るわけではない。むしろ高齢者世帯の増加が進むことで、しばらくは世帯数の増加につながっていた」と説明。その上で「こういった事情から、これまで人口減と比べて世帯数減はそれほど問題視されてこなかった」と警鐘を鳴らす。 ■地域間で大きな格差 世帯数が減ることで、「一家に一台」が多い住宅や自動車、大型家電などの高額な耐久消費財の需要は大きなマイナスとなる。すでに国内消費は人口減で落ち込み始めているが、世帯数減が追い打ちをかけ大幅に冷え込むことが予想され、荒木氏の試算では20年から30年の消費減は全国で4・1兆円、関西で1・2兆円になるとする。 また、世帯数の減少に地域間で大きな差があることも問題視されている。東京を中心とした南関東や、自動車を中心とした産業が集積する東海は当面は増加傾向だが、北海道や東北、四国は減少が目立つ。関東への人口流出が顕著な関西は南関東や東海よりも減少が早く、経済成長の格差につながる懸念がある。